「…キ、キラさん…」
「あれ、シン二日間駆け通した位でへばってるの…まだまだだね」
「まだまだでも構わないです、せめて今すぐ休ませてください」
「だーめ ほら、もう城門が見えてきたよ」
「(まだ全然見えないじゃん…でもやっと休める…)」



帰国





仮面の某国王に散々扱き使われ(玩ばれ)、その憂さ晴らしとばかりに(流石に疲れを訴える)お供についてきたシンを駆り立て全力で駆け徹すこと丸一日、紫鬼ことキラ・ヤマト(18)は祖国へと辿り着いた
二人を出迎えたのはザラ君国が国主と従姉姫その、そして国主付き小姓とラクス姫が数ヶ月前に引き取った少年少女たち…という美麗且つ豪華な面々だった

「キラ!おかえり…」
「お帰りなさい!キラ!!」
「キラ!お帰りー!」
「キラお疲れ!」
真っ先にキラに飛びついたのはステラ・アウル・スティングの元エクステンデット三人組だった
その際約一名キラに満面の笑みで飛びつこうとした人間が無残にも跳ね飛ばされたのはご愛嬌である

「ステラ、アウル、スティング、只今 出迎えありがとう
 でもね、三人共アスランとラクスの護衛をサボっちゃだめでしょう?」
三人組をやんわりと窘め、「ごめんなさい…」という謝罪を優しく受け入るるキラに近寄ってきたのはラクスだった
「お帰りキ…」
「私がキラを皆で出迎えようと申し上げたのですわ」
ラクスは穏やかに三人組をフォローする
勿論上等な衣を土だの泥だの鳥の羽だので盛大に汚している人間は無視である
「でも、無用心に城の外近くに出たら危ないよ、ラクス」
「あら、そうしましたらキラが助けてくださるでしょう?
 お帰りなさいませ…漸くアレより先に出迎えることが出来ましたわね」
キラは変わらないラクスの笑みに自身も微笑み返すと、腰に三人組をぶら下げたままラクスを優しく抱きしめ、そっと桃色の豊かな髪を撫でる
「只今、ラクス」

「キ…」
「お帰りなさいませ、キラさん」
「只今、レイ」
次にキラに声を掛けたのはレイだった
ご丁寧に上等な衣を土だの(以下略)を踏みつけながら近づいてくる
「キラさん、鋼糸の使い方でお訊きしたい事があるんです…
 後でお時間をとっていただけませんか」
「勿論 レイのためなら、何時だって構わないよ」
レイはキラ直々に鋼糸の扱い方を師事している
ギルバートの推測どおり、レイには鋼糸の適性があったらしくめきめきと腕を上げていた
もう暫くしたら実践で使わせてもいいのではないか、ともキラは考えている

「さあ、みんな行こうか
 こうして皆で久しぶりに集まったんだから、今夜は(国主の金で)酒盛りだよ!」
自分達(主にキラ)を出迎えに出た一同を促して、城内に入っていこうとするキラの後姿に、アレ(ラクス談)はついに暴発した

「キラ!俺を無視しないでくれ! 俺の出迎えは受け入れてもらえないのか?!」
「ちぇ、態と無視してたのに…それにね」
「…?」


「仕事をしない国主なんて僕は知らないよ」


ザラ君国国主・アスランはキラのブラックスマイルと共に放たれた台詞に見事撃沈した
ただ一人展開についていき損ねたシンは、酷く落ち込む国主の姿に、この国の忍一族の次期頭領の座を返上することを考え始めた



柊雨さま(@ツキニイノル)からいただきました、紫鬼三次作品です!! ありがとうございました!!



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