ある日、ある場所ある時間。


ある一族の本家に手紙が届きました。

 その手紙を読んだ当主、カサリと手紙を折りたたんで一言。


「よし、お前らちょっと行って来い。」


その一言で、ある双子は家を追い出されてしまったのでした・・・・・・。

 あとに残ったのは「これで万事解決ですね」と微笑む大人たちと、


「こらちょっとまてドアホーー!!」「横暴だと思うんですけど〜!(怒)」という、双子のやかましい抗議の絶叫だけでした。



Bodyguards





――――ことの発端のある夜。

「くそっ!」

人工的な月明かりの下、らしくもなくそう悪態をついてみても、状況はまったくかわらない。

アスランは焦り、足を動かしつつもそんなことを頭の片隅で思った。

 彼は今、何者かに追われている。

近道をしようとして路地裏に入ったのが悪かった。

人通りは少なすぎて助けも呼べない。確実にこちらに近づいて来ているとわかるのに、目的も相手が何者かも知らない。

 だが本能が危険信号を出しているからこそ、アスランはこうして走って逃げているのだ。


しかし、一向に相手との距離が伸びない。

焦り、もう一度悪態をつきそうになった時、唐突にその鬼ごっこもどきが終わりを告げたのだった。

 なんと前方にまで、アスランの本能が危険信号を出す人物が立っていたのだ。


道は一本道。両脇は高い壁。――――――逃げ道は、ない。


 思わず足を止め、視界を巡らす。だが、やはり突破口になるようなものは見当たらなかった。

舌打ちをすると、それが聞こえたのか、目の前に立つ人物がにやりと笑った。気持ちの悪い、捕食者の笑いだ。

 それに正直に「キモい。」と内心でつぶやき、アスランは瞬時に立った鳥肌を自覚しながらも慎重に相手の出方を待つことにしたのだった。


「アスラン・ザラに違いありませんね?」

漸く口を開いてそう言った男に、これまた内心で「間違えてたらあんたらどうするつもりだったんだ?」と純粋な疑問をつぶやきつつ、アスランもにやりと笑って返す。


「そうだ、と言ったら?」


あぁなんだかこの先が簡単に予測できる。なんて定番通りなんだ、と何処か冷めた頭でそう思ったが、当然口には出さない。

 精々このちょっとシリアスな展開を楽しんでやろうじゃないか、とちょっとどころかかなりずれた、というかぶっちゃけ頭大丈夫?と自問自答したくなってくることまで考えた、そのとき。


「ならば、死んでもらゴフゥッ!」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?


何があったのだろう、ってかこいつ大丈夫かな、とどこか壊れた思考で思いながら、アスランは目の前の男を観察した。

 手は未だ怪しげなコートの中。きっと話の流れから銃かなんかをを取り出そうとしたのだろうが、男の頬・・・というか顔に、見事・・・・・・・・・これは、マンホールのふた?が食い込んでいるせいで、男はその格好のまま地面に倒れて失神していたのだった。


マンホールのふたがなんでここに・・・とやっぱりどこか壊れた思考で思っていると、不意にまた、背後で「うごがぁ!?」という、なんとも奇天烈な声が響いたのだった。


今度は何だ!?と、徐々に平常に戻りだした頭で振り返ると、なんとそこには頭に・・・・・・植木鉢?(なんてコントチックなんだ・・・・・・)を食い込ませて失神している男が。

 前後の両者が同じような服装をしていることから、後ろの男が自分を先ほどから追いかけていた人物だと気づく。


 しかし、いったい何が起こっているんだ・・・と、自然にはありえない失神の仕方をしている男たちを凝視していると、不意にアスランに声がかけられたのだった。


「コンバンワ。アスラン・ザラ?僕キラ・ヤマト、もちろん偽名。あぁちょっと、こっちだってこっち。上だってほらデコ!」


・・・・・・ん?なんか今聞き捨てならないような単語が聞こえたが、とりあえず無かった事にして視線を上に向ける。

 声のした方向――建物の屋上――を見れば、なんとそこには―――――・・・・・・・・・・や、ぶっちゃけ逆光で形しかわからん。

声も形も少年のように思えるが、とりあえず誰何の声をあげてみる。


「誰だ!!」

「だから、キラ・ヤマト(偽名)つってんじゃん!!(怒」


そうでした・・・・・・。と一瞬謝りそうになったがすぐに正気に戻って言い返す。

「そんなことを聞いているのではない!なんの目的があって俺に近づいた!?」


「それが助けてもらったデコの言い分!?“ありがとう”、はどうした“あ・り・が・と・う”!!?」


なんだか、また聞き捨てならない言葉を聞いたような気がするが、とりあえず聞かなかったことにして相手を観察する。

 が、やはり逆光でまったく見えないので、すぐに断念して自分の考えに没頭してみたのだった。



俺の名はアスラン・ザラ。国防委員長の一人息子。ザフトで赤服をまとう一応エリート軍人。

そもそもなんで俺、ここにいるんだっけ?

たしか、近道しようとして路地裏入って・・・・・・・だいたい、なんでこの文明社会の化身のようなプラントを、徒歩で歩いてしかも路地裏なんてものに入ったんだ、俺。

あぁ、気分転換しようとしたんだ。気分転換・・・・・・・・・

まぁ、命狙われたり、コントしてみたりしたのは気分転換に・・・・・・というか、性格転換(?)になったが。

 命・・・・・・そう、ってか

「「今そんなこと関係ないし!!」(ベシッ)」



ん?今声、誰かとハモらなかったか?頭はたかれたし。というかこの声は・・・上から聞こえてきた失礼なやつの声!!


「いつの間に!?」

「君が黄昏はじめてから随分時間経ってんの!僕が屋上から歩いてここにこれる位の時間はね!!」

そうですか・・・・・・とまたもや謝りそうになりながら、アスランは漸く声の持ち主を振り返った。


 なんと、そこには・・・・・・・、

「おんなゴフッ」

は、腹に何かが食い込みました。

涙目で目の前の加害者をみると、“彼女”は微笑んでアスランの腹から足を引き抜いた。

そして、その微笑みのまま、再度アスランに足を振り落としつつ言う。


「ん?なんか言った?一応言っておくけど、僕だから。お・と・こ!!わかるかコルァ!」

な、なんてガラの悪い女なんだ・・・!

「だから男だって言ってんだろ」


ガス、ゴス、ゲシ、バキ(?)




〜 しばらくお待ちください 〜





「いやはや、ごめんね、アスラン。僕ちょっとイラついててさ、君に八つ当たりしちゃったんだ。体、大丈夫?」


気を取り直して。キラと名乗った(自称)少年は、すまなそうに眉根を寄せて、そう謝罪した。

その姿は、少年の少女めいた容姿も相まって、ひどく保護欲をそそるものである。

 しかしアスランはすでにわかっているのだ。この少年はさっきの方がであるということを・・・(泣。


痛む体を庇いつつ体を起こし、アスランは極力相手を刺激しないように言葉を選んで発したのだった。


「それで、キラ・ヤマト?俺にいったいなんの用だ。」

その疑問を聞き、不意にキラはまじめな表情を作り、語りだしたのだった。



要約するとこうだ。先日自分の一族に匿名の手紙がきた。その手紙の内容は“ある人物を守れ”と言う物。それにはなんとも莫大な金額の小切手が同封されていて、差出人もわからないから返金しようもなく、結局その匿名の依頼を受けることとなったのだ。


「その“ある人物”は君だ、アスラン。」
そして、君を守る役目を負うのがこの僕。

凛とした様子で語られるそれは、信じがたいもので。アスランは訝しげに眉を寄せつつ、頬杖をついて返答した。

ちなみに今二人は、座るところもなかったので地面に直接胡座をかいて座っていたりする。

 育ちのよろしいアスランには初めての経験。だがそんなことに感動できるほど純粋に出来てはいないので、双方あまり気にせず話し込んでいた。

「信じると思うか・・・?」

確かに、自分は先ほどこの命を狙われた。それをキラが助けてくれたのも認めよう。

 だが、キラも先ほどの男たちと同じ目的である、という可能性を否定できないのだ。油断させて殺す、なんてことになったら目も当てられない。

それを言うと、キラは一瞬意外そうな顔をし、すぐににやりと笑って答えたのだった。

「案外かしこいね。けれど安心していいよ。僕ら一族は一部の者にとってかなり有名だ。“守る”ことしかしない・・・けれど、その腕はどの暗殺者よりも上である、ってね。」

しかし、その説明を聞いてもまだ納得する様子のないアスランに苦笑し、キラはおもむろに立ち上がったのだった。

「君に信用してもらわなければ、僕らの仕事は成り立たない。・・・とにかく、僕はまず君に信用してもらうために動かなければいけないかな。」

その姿がなんだか悲しそうで、アスランは罪悪感を刺激され、ついつい了承の言葉を発してしまったのだった。

「・・・・・・・・・・・・とりあえずは、信用してやる。」

途端にぱっと明るくなる顔。なんだかその変化が妙にかわいくて、アスランは苦笑しつつも言葉を発する。

「だが、俺は今軍に属している。当然、四六時中張り付いてるわけには行かない。どうするつもりだ?」

と。キラは一瞬考えるように視線をそらしたが、すぐにアスランに戻して至極あっさりと言ったのだった。


「大丈夫。なら僕も軍に入るから。」

アスランはその安直ともとれる返答に、ため息をこぼさずにはいられなかった。

「無意味だな。俺はまかりなりにもクルーゼ隊の赤だ。お前と任務内容や隊がかぶる可能性はないに等しいぞ。」

だがキラはそれを聞き、落ち込むどころか不敵に、というかアスランの言葉を鼻で笑って返したのだった。

「“ヒビキ一族”の者をなめんなよ?」



そうして、その言葉を残してキラは颯爽と去っていったのだった。

一方、残されたアスランと言えば。

なんだかいろいろと疲れてしまい、とっとと自宅へ帰ってベットに潜り込んだのだった。




(あとがき)
かなり前のネタ。文章もどこか拙い感じが・・・Uu
でもま、がんばって補修しながらやっていきたいと思います。

設定は初のSEED無印時代。キラとアスは幼馴染にあらず。
・・・・・・まぁ、わかってるでしょうけど、ギャグです。

こんなんでお礼になるのかな〜。とちょっと心配ですが、とにかく頑張ります!!(汗  



 TOP  NEXT
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送