おはようございます、皆さん。

この歳で早くも生え際が気になり始めたアスラン・ザラです。

僕は今、なんだか信じられないものを目の前にして、固まっています。

その“信じられないもの”の特徴は、さらさらの亜麻色の髪、東洋の血が混じっているらしい、黄味の混じった、だが白く柔らかな相貌。ぽってりとした唇に、閉じられた目を縁取る長いまつげ・・・。

 なんだかついついその唇に目が吸いこまれるような錯覚を受けましたが、理性で振り切りました。

 しかしなんで、なんで・・・・・・・


こんな美少女が朝起きたら俺の隣で寝ているんだぁぁあぁああああああ!!!?



Bodyguards2





硬直から解けるとすぐさま飛び起き、勢いあまってベットから転げ落ちながら、アスランは未だベットの上で寝息を立てている人物を凝視していた。

 顔は、大変好みだ。さすが俺。・・・・・・・・って違う、服。服着てるよな、よし!着てる。相手は・・・あぁよかった着てる・・・。

わたわたと体と視線を動かすアスランは、傍から見たら滑稽なことこの上ない。

 だが幸か不幸か、アスラン以外そんな様子を知るものはいなかったので、誰にも突っ込まれずにすんだ。


が。


「ぷ、ぷくくくくくくくくく・・・・・・・・・・っく、く、く、く・・・」

まぁ、なんというか当然のごとく、アスラン曰く美少女は起きてそれをばっちり見ていたりしたのだった。

「お、起きて・・・・・・?」

ばっちり寝ていると思ったのだが、どうやら狸寝入りだったらしい。


恥と混乱で赤くなった顔を自覚しながら、アスランは漸く目の前の人物のことを思い出したのだった。

「キラ・ヤマト・・・・・・。」

安堵していいのか失望していいのか・・・紛らわしい女顔と演出を怒ればいいのか・・・いや、怒ったら確実に10倍返しされるからそんなこと怖すぎてできないので、とりあえず平静を取り戻すことに全神経を費やしたアスランなのでした・・・・・・。



 数分後。顔を洗い、着替えるなど一通りの身支度をした後、アスランは朝食を作っていた。

もちろん二人分。一人暮らしは長くは無いが手先が器用なので、包丁を動かす手は手馴れたものである。



 キラはそれを何とはなしに見ながら、テーブルの上に置いてあった朝刊を開き、情報収集をはじめたのだった。


情報収集は仕事に必要不可欠だし、何より趣味でもあるのだ。

低血圧でなかなか目覚めない脳も、こうして活字を追っていけばだんだん起きてくる。


 粗方目ぼしい出来事を頭に入れ終わったころには、目の前のテーブルには、なかなか豪勢な食事が並べられてたのだった。

 おいしそう・・・と素直に思いながら新聞をたたむと、不意に正面に座ったアスランと目が合った。

半ば反射的に微笑むと、相手も釣られたように微笑み返してくれた。


 それは、ある日のほのぼのとした朝の出来事――――――・・・ってあれ?



「「・・・・・・・・・・・・・・・ん?」」



なんだか当然のように二人分の朝食を用意し、またはほのぼのと新聞を読んで微笑を交わしていた彼ら。

しかし皆様、思い出していただきたい。彼らが出会ったのは昨日の夜のことある。


低血圧な二人組みは、漸くその事実とこの朝の風景の異常性に気づいたのだった。

そして、叫ぶように言う。


「お、おまえ何でここに!?」

「君、意外と料理得意なんだねぇ」


や、叫んだのは片方だけだが、たぶんアスランの叫びの方が重要なので、気づくのがおせぇんだよ馬鹿、と内心で突っ込んでからその疑問に答えてあげましょう。


「だって僕、君の護衛任務終わらせなきゃ家帰れないんだもん。」

追い出されるように家を出たからね。しばらくお世話になるよあははは・・・・。

というキラの目はどこか遠くを見るようにうつろで、アスランはなんだか同情したくなってしまった。

「だからって、なんで俺の家?」

「お金の節約?ほら、ホテルなんか馬鹿高いし。それに護衛対象といっしょに暮らしていれば、何かあったときも対処しやすいからねぇ。」

 言ってることは冗談半分に聞こえるが、その目は驚くほど真剣だ。

自分の気持ちがどんどん傾いていくのを自覚しながら、しかしアスランはまだ「けどな・・・」などと渋っている。

その往生際の悪さに内心で盛大に舌打ちをして、時間が迫っていることに気づいたキラは、結局最終手段に出たのだった。


「だめ・・・・・・・・?」

必殺☆目ぇキラキラうるうる上目使いおねだり攻撃!!

 未だかつて誰にも破られたことのないその攻撃は、例外なくアスランのハートにも突き刺さった!!


 痛恨の一撃!!アスランのヒップポイント0!!


キラの勝利!!!(カァンカァンカァン:銅鑼の効果音



・・・・・・・・・・・・・・・・ということで、結局は早々に折れてしまったアスランなのでした・・・・・・。(憐れUu



 そうして、アスランから何とか了承の意を勝ち取り、キラはふふふ、と満足げに笑いながら、ふわふわのスクランブルエッグを租借したのだった。

 触感も然ることながら、味も上々だ。知らず顔に柔らかい笑みが浮かび、それを見たアスランはさっきまであった不満はどこへやら、まぁいいか、と微笑さえ浮かべて思ったのだった。



 しばらく穏やかな空気の中で食事をしていると、不意にキラが顔を上げ、話を切り出したのだった。

「そういや僕、今日からクルーゼ隊の赤服だから。一緒に出頭しようね。」

と、まるで「今日は雨が降るから、傘持っていきなさいね。」という子供思いの母親のような口調でそんなことを言われた日にゃぁ、怒りゃいいのか泣けばいいのか・・・そもそもなんでそんな口調?と疑問に思いつつもとりあえずアスランは、噴出しそうだったコーヒーを飲み込むことにしたのだった。


「い、いくらなんでも展開が早すぎじゃないか・・・!?というか、いったいどんな手を使ったんだ?」

「そりゃ、権力と実力。」

質問にさらりと返された言葉は、まぁ予想通りのものなのだがやはり信じられなくて。説明を求めるような視線を向ければ、キラはにやりと笑って話し出したのだった。


「昨日も言ったでしょう。“ヒビキ一族は有名だ”って。有名になればなるほど、戦う力が強ければ強いほど、権力者にとってうちの一族の需要性は高くなる。
 権力者に取り入ることによって一族は繁栄し、それに比例して権力も増す。」

無理な要求も一晩で通るくらいには権力が強いんだよ、と何処か自嘲気味にいうキラに、アスランは得体の知れぬ要求に駆られ、手を伸ばしてキラの頭をそっと撫でたのだった。

 すると、すぐに向けられた、驚きで見開かれた目。

昨日も思ったが、こういう不意に見せる表情が、妙にかわいくて放って置けない。そう思いながら苦笑して続きを促すと、キラも苦笑をし、呟くように言ったのだった。


「その権力が、一族の子供たちが苦労してもぎ取ったものだと思うとね、どうしても使いたくなくなる。でも僕も、一族の誰もがそれをわかっていて、普通にその権力を使うから、救いようがないな〜・・・て、そう思っただけだよ。」

 どこか、苦々しげにそう言う。困ったように笑っているが、彼の頭には過去が走馬灯のように流れているのが手にとるようにわかった。

そしてそれはきっと・・・あくまでも憶測に過ぎないが、辛いものだったのではないだろうか。

 自分も家柄上、子供のころからたくさんの勉強を課せられていた。それは子供の身には、非常に辛いものだったのを覚えている。

自分でさえそうなのだから、キラの言う“一族の子供たち”に含まれる彼も、きっと自分と同じ、否、体を張ることを仕事としているのだから、それ以上の苦労をしてきたのだろう。



 そこまで思って、ふと気づく。

「時間!」

気づけば、すぐに出なければ出頭に間に合わない時刻となっている。

アスランは慌ててキラを促し、軍服へ着替える為に自室へ向かったのだった。



「そういえばキラ、クルーゼ隊は今日から地球へ向かうんだが、大丈夫なのか?いろいろと。」

軍服の上着を着ながらリビングに戻り、たぶんそこにいるだろうキラに声をかける。

こいつのことだから大丈夫だろうけど、と思いつつも視線をキラに向けると、キラは悠然と笑いながらそこに立っていた。

 そして彼を見た途端、アスランは珍しくも言葉を失ってしまったのだった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・何。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、やけに似合うな・・・・と、思いまして。」

なぜか敬語になってしまったのはおいておいて、実際、キラに赤い軍服はやけに似合っていた。まるでキラのためにしつらえられたような、そんな感じさえ受けてしまう。

「・・・・・・・・・・ありがとう・・・。」

だがしかし、軍服を似合うといわれても素直に喜べるものではなかったらしい。複雑そうな顔でそう返事をしたキラに、なんとなくその話を長引かせるのもどうかと思い、別の話題を提示した。

「そういえば、軍服、すでに支給されてたんだな。それも昨日の内に?」

「うん。」

「で、地球任務の件は?聞いた?」

「聞いたよ。ラクス・クラインの護衛でしょ?・・・・・・・・・楽しみだ。」

そこまで早足で歩きながら会話していたのだが、最後の「楽しみだ」の口調に何かが含まれているのを敏感に感じ、アスランは恐る恐る振り返った。

「・・・・・・・・・・・・なんだ、ラクスのファンか?」

「うん?歌は好きだよ。でも僕が楽しみなのはそっちじゃなくて・・・・・・ふっふっふっふ。」

なんなんですか、じゃぁ何が楽しみなんですか。と聞いてしまいたいが、添えられた微笑が怖すぎて、アスラン結局見なかったことにして自分の車までキラを誘ったのだった。



そして、車に乗ってさぁ出発、とエンジンを入れたそのとき。助手席に座っていたキラが思い出したように口を開いたのだった。


「アスラン、今更のようだけど、命を狙われる理由に心当たりはある?」

「いや、ない。誘拐されるならまだわかるんだが・・・・」

と、一応著名人の息子という自覚があるアスランは、眉根を寄せて考え始める。

だがキラはそんなアスランに苦笑し、「いいよ、きっとそのうちわかるから。とにかく今は急がなきゃ。」と言って彼を促したのだった。    




(あとがき)
コメントのしづらい・・・。なんというか、馬鹿らしい?・・・ね。
まぁ、長い目。長い目です皆様!地平線のごとく長い目で見守ってください!
けどこの話一応中編ですので、たぶんくだらないまま終わります!!(決死の告白  



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