*** First Stage ***
   side Cagalli
   target : Athrun,Lacus,Cagalli


私の名はカガリ・ユラ・アスハだ。

現在“アーモリーワン”と呼ばれる軍事プラントに、オーブ連合首長国代表首長として政治的交渉に参じている。

目的は、オーブから流出した技術と人的資源の軍事利用を止めさせる事だ。

それによってプラントは、以前よりも更に軍事活動が盛んになってしまったからな。少しでもその規模を縮小させるためにも、なんとしても先方にこの件を飲んでもらわねばならない。



―――――と、これが表向きの理由だな。



ぶっちゃけそんなことはどうだっていい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、良くは無いか?

だが私には、オーブよりも藍色の髪のメカオタクのデコよりも、何よりも大切な物があるんだ!!

今回はだな、その大切なモノを守るため、ただそれだけの理由でプラント入りしちゃったんだはっはっはっはっは!!


しかし、何もその大切な物モノに悲しい思いをしてもらいたくないから、戦争を未然に防ぐ為に来訪した、という訳でもない。

ふんっ! 私はまだ若いんだ。そんな遠い危機よりも、今身近にある危機を危ぶむ!!

つまり、私の大切なモノ、もとい大切な者!! イコール我最愛の弟、名前をキラ!! こいつを女帝とデコから守る為に一時オーブを離れたかっただけなんだ!!


え、何? そんな威張れることじゃないって?


・・・・・・・・・・・・・・・・うるさい、黙れ!!!


「カガリ、緊張してるの?」


はっ、しまった、一瞬だが傍らの存在を忘れて殺気の篭った笑顔を出してしまった!!

動くたびに長めの褐色の髪をなびかせ、優しく微笑んでいるこの少年! 言わずもがな私の最愛の弟!

なんて事だ、裏の顔を見られてしまった挙句、私がこいつの存在を忘れるだと!? 私の馬鹿!! そんなことだから中々女帝からキラ所有権を奪えないんだ!!

そう、あの女帝は完っ璧に猫を被りつつ、ほぼ常にあの変態デコとタメを張れる位キラのことを考えているのだから!

私も女帝と勝負が出来るくらいに精進せねば!! ぬかってはいけない!!(デコはアウト・オブ・眼中)


はっはっは、今の私は完全無敵。頭の中はキラだらけ。プラントの議長だろうがオーブのグラサンハゲだろうがなんだって来い!!


「・・・・・・・カガリ、大丈夫? 気分が悪いなら休もうか?」

「いや、大丈夫だ。・・・・すまないな、・・・・・・・私がしっかりしなければならないのに・・・・!」

「仕方が無いよ。それに、気負わなくて大丈夫。僕がいるから、ね?」


あぁ、気分の落ち着く笑顔! まさに癒し系スマイルをありがとう、キラ!

確かにお前がいれば万事うまく事が進みそうだ! 安心できたから、実は緊張しているように見えるのは演技だって事を許してくれ! お姉ちゃんはその笑顔がみたかっただけなんだあははははは!!


*** First Stage continue...***




Mascot





緊張しているらしいカガリは、何だかやけにしおらしい。これは随分弱気になってしまっているようだ。

仕方が無いとはいえ、いっそ立場を変わってやりたくなるが、そうもいかない。

申し訳なく思いながらも、それ以上何かを言うことも出来ず、彼女の後に続いたのだった。


しばらく進むと、エアステーションの中心部らしい場所についた。

吹き抜けから見える階下は多くの人で込み合い、人ごみが苦手なキラは正直にカガリが要人でよかった、と思う。

何故なら、現在こうして要人専用の通路を使っているからこそ、スムーズに進めているのだから。一方で、自分たちの進む道がそれと知ってか、階下の人の視線が自分達に集中していたが・・・・それ位は仕方が無いだろう。あの人ごみを避けれることの代償と思えば、大して気にならない。


カガリの周辺への警戒は怠らなかったが、なんとなく気が引かれて人ごみを見続けていると、不意にある少女と目が合った。


「・・・・・・・・・あの子・・・・?」


ぼーっとしているというよりも、何も無い瞳。はっきり言ってしまえば、空虚な。


「キラ?」


小さく上げてしまった声に気づいたらしいカガリが、怪訝そうな声を上げたが。キラは小さく「ごめん」とだけ呟いて、手すりに手を掛けたのだった。







*** Second Stage ***
   side Sting
   target : Member of extended  + α


要人用の通路を、やけに目をひく人物が通過しようとしていた。

そこはさ、一般フロアよりもはるかに高い位置にあって? 尚且つその一般フロア全体を見下せるように設計されてる訳だな。だからさっきまではなにやら権力者達の意図を感じるなとか、思ってたけど。

遠目だが、人ごみに埋もれずにばっちりその人物を見れる事を考えると、ちょっと考えを訂正してやろうじゃないかとか思う。

むしろ今は、一般人がそこを通る人物をよく見れるように作られてるんじゃないかってさ。そう考えると・・・アーモリーって何かいいな。一般人たちにもサービス満点。地球軍とは大違いだぜ。


「スティング、何にやにやしてんだよ。気っ色わりぃ〜!」

「うるせえよ、馬鹿。それよりも、ってあ・・・・・」


すごい物を見てしまった。

アーモリーはプラントの一つだからコーディネイターがいても可笑しくないんだけど、普通は出来ないよな。


・・・高さ数十メートル上から飛び降りてくるなんて、さ。


多くの人の視線がそいつに集まってたから尚更、一般フロアはちょっとしたパニックになったけど、そいつは全く気にした風はない。・・・・見かけによらず大胆な上、胆が座ってるみたいだな。


・・・・・・・・・・・・・っておい、何で近づいてくる?


近くで見るとホント綺麗な奴だな・・・・ってそんなことはどうだっていいんだよ。落ち着け、落ち着け俺の心臓。ついでにアウルも落ち着け。その場で犬の如くぐるぐる回転しやがって。挙動不審すぎだし。その内「わん!」とかいいそうだぞお前。ほら、昔の罰ゲームっぽく。


そんな風に思うこと事態俺もいい加減パニクってるんだろうけどさ、仕方ないと思うわけよ。

近づいてくる奴は、やけに綺麗だし。見た目だけじゃなくてさ。瞳とか、雰囲気とかが。今まで会ったことの無いタイプだし、なんかこう・・・・こいつの前では嘘を付けなさそうな感じがするもんな。嘘大好き人間な俺達は、そりゃパニクるって。


なんて必死こいて心の中で言い訳してる内に、マジで近くまで来やがったってか来て下さった? いやいらっしゃったか? ちっ、敬語勉強しとけばよかったぜ・・・・。


「・・・・・・・・・・・・・スティング、お前、落ち着けよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?!?!?!?」


さっきまで同じところをぐるぐる回ってた筈のアウルに宥められた。俺が、この俺が! 俺お兄ちゃんなのに!!

ショックで逆に我に返ったぞ。例え目の前でこの綺麗な奴が阿波踊り始めたってきっともう驚かない!
・・・・・・・・・・いやゴメン、絶対驚くわ、やっぱ。


「・・・・・・・・・少し、お話できるかな?」


我に返ったとか言いつつ、現実ではやはりパニックが収まっていなかったらしい。気がついたらあの綺麗な奴がステラの目の前でとまり、柔らかく微笑んでそう言っていた。

あぁ〜、心が和む笑顔だな、うん。・・・・・・・ってしっかりしろよ俺! 明らかにコーディネイターの奴の接近を、簡単に許しちまってどうする!?

出遅れたがさりげなくステラとその綺麗な奴との間に割って入って、訊ねた。


「こいつは俺達の連れです。何か用ですか?」


ナンパ・・・・は、なんとなくありえないと思う。そういう事、こいつはしないって確信があった。


「そう、君も。じゃぁ、そっちの子も?」


そういいながら視線をやるのは、俺と一緒にいたアウル。素直に頷くと、そいつは何か考えるような・・・・いや、何かを必死で思い出そうとしているように、首を傾げて目を細めていた。・・・・・・そんな仕草も可愛いな・・・・。ってだから、しっかりしろよ俺!!


「・・・・・・・・・・・・・そっか、二年経ったから・・・・。」

「あ?」


小さく呟かれた言葉は聞き逃しちまった。何だって?


「あ、ううん。何でもない。用・・・・用事は、ナンパ?」


困ったような笑顔で訊かれても困る。可愛いけど。・・・・ってか、むしろ訊きたいのはこっちだって。

ってかこの綺麗な顔に触ってみたい。スベスベなんだろうな・・・・・・・・・・・・・・・っておいおいおいおい!! し、しっかり、俺! 冷静を保て、冷静を!!


「・・・・・・・ナンパって、あんた・・・・。」

「大丈夫。少し、話したいだけだよ。・・・・この子だけじゃなくて、君達とも。」


そう言って穏やかに微笑むから、意表を突かれてステラへの更なる接近を許しちまった。けど、危害を加えるようには思えなかったから、あえてそのまま身を引くことにする。

そいつは、段差に腰掛けているステラの前に膝をつき、じっとステラを見上げていた。いいなぁステラ。俺も見上げられたいかも。


「・・・・痛い?」

「?」

「・・・・・・・・それとも、悲しい?」


ステラの頬をそっと両手で掴んで、意味不明な言葉を呟く。けれどもその姿が、何かで見た信託を下す天使みたいに綺麗で、思わず言うべき言葉を飲み込んでしまった。

同じくそいつの雰囲気に飲まれてしまったのか、アウルも動かない。ただ目を見開いて、目の前の二人をみるだけだ。直情型のこいつにしては、まじで珍しい。


「ううん、・・・・・・・・・怖いんだね。」

「・・・・・・っ!」

「・・・・大丈夫だよ、もう。」


訳がわからない。けど、ステラには何か伝わる物があったのだろうか。だってこいつ電波系だし。あぁ、もしかしたらこの綺麗な奴も電波系かもしれない。

ついでに両方小動物を思い出す容姿だし、あれか。同族間の以心伝心または小動物言語。


ほのぼのだな〜とどっかイカレた頭で思ってたら、突然ステラが泣き出して綺麗な奴にしがみつきやがった。離れろステラ! 羨ましいじゃねぇか畜生!! 俺だって抱きつき・・・いや、抱きしめたい!!


「ステラ・・・・?」


それでも表面上は冷静を保ってる俺って素晴らしい! 戸惑った様子を装いながら訊くと、ステラはただ綺麗な奴の背中に回した腕に力を込めるだけだった。ちっ・・・・!


「・・・・・・僕は、君達を知ってる。君達の、先輩達と一緒に暮らしてるし。」

「・・・・・・・は?」


されるがままにしてると思ったら、今度はそう来たか。話がかみ合ってないから、なるほど、やっぱりこいつも電波系だ。可愛いからいいんだけど、別に。

しかし先輩を知ってて、俺達も知ってる? ってか先輩って誰だよ。

俺の心を読んだのか、綺麗な奴はステラをくっつけたまま苦笑して、それから驚くべきことを言った。


「その時は、生体CPUって呼ばれていたけど、今は何て言うのかな。」

「「っ!!」」


アウルと俺の息を呑んだ音が重なった。聞いたことのある単語。俺達も将来はそれになるって聞いていた。

そいつは今度は俺達をじっと見て、懇願するように・・・・・心苦しげで、でも確固たる意志をもった瞳で言い募る。


「僕は君達のように、強化されたナチュラルを治す術を持ってる。悪いようにはしないから・・・・・」


信じられる言葉じゃない。意味もわからない。けれどそいつは確かに俺達の状態を知っているようで、何かを伝えたがっているようで、目が離せない。


「君達がこのまま地球軍に使われて終わるなんて事、僕が耐えられない。エゴだって解ってるけど、お願いだ・・・・!」


目に僅かに涙を浮かばせて、最も言いたかっただろう言葉を言う。


「地球軍を捨て、僕達についてきて・・・・!!」

「・・・・・・・・・なに、言って・・・・。そんなこと出来るはずが・・・・・」


悲しげに眉根を寄せるその表情が色っぽいな、とか思ったけど。まだ会って数分しか経ってないのに、今いる場所を捨てて自分のところに来いと言う神経が信じられなかった。


「わかってるだろう、強化人間を地球軍がどう使うかなんて・・・。これは千載一遇のチャンスだぞ。それにお前達が何故ココにいるのかもわからないから、キラも焦ってるんだ。わかるだろ?」

「・・・・・・カガリ」


突如背後から聞こえてきた言葉に振り向けば、金髪の女が背後に大勢のおっさん達を引き連れて立っていた。

全然違うのに、どことなく雰囲気が似ている感じがする。背後のおっさん達も何故か微笑んでいて、不思議と敵愾心が沸かない連中だった。


「それに見てみろ。お前、それを見て『いやだ』なんて言えるのか?」


金髪の女の指差した方向に、半ば反射的に視線を送る。


すると、そこにはアウルと、綺麗な奴とステラが。そこまでは別にいい。ただ配置にちょっと問題があった。


・・・・・・なんでアウル、お前まで綺麗な奴に引っ付いてんだよ。ってかそろそろこいつを「綺麗な奴」って表現するのが悲しくなってきた。

なんだっけ? キラ? あぁ、こいつに似合う綺麗な名前だな!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・ってか、さ・・・・・っ!


そ、そんな小動物系の顔を三つも並べるなよ!! 揺れちまうだろ!? 何がって、常識と俺のピュアなハートvが!!

しかもなんか歌が聞こえてきたし。


何々? 「・・・・・・どぅする? アィ●ル〜♪」そうまさにそんな感じ!! あのおっさんの気分がわかるぜコンチクショウ、目が離せない!!

むしろ離したら負けだ!! 目力勝負だ!! 俺は常識と良識のために負けないぜ!!


「・・・・・・・・わかった。あんた達のこと、信じるからな。」


・・・・・・・10秒と持たなかったーーーーー!!!


なんて事だ、俺! だって無理だ! 初対面だけど男か女かわからない美人が目をうるうるさせて、その両隣にも目をうるうるさせた可愛がってる弟もどきと妹もどきがいるんだぞ!?

これで耐えられるやつが居たら見てみたいな!! 絶対閻魔大王だって心動かされるはずだ!!

むしろ動かされろ閻魔大王! 俺と同じ目にあってみろよ畜生!(やけくそ)


*** Second Stage continue...***





(あとがき)
白キラは初の試みです。
明らかな総受けも初めて書きます。

むしろ段々やけくそになってきて、こんなぶっ壊れた感じに仕上がりました。

あぁっ、石を投げないで! ちょっと後悔してるから、ぶっちゃけ!!

次回で終わりますが、シリアスな展開は期待しないでください。

ってか今回でよくわかりました。私は、エクステンデット達を手なづける手順が、どうしてもステラ→アウル→スティングの順になってしまうと! あはははは、やば〜ぃ!(逃  



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