戦乙女と曲芸団 3 夕闇が町を包み始める頃、ある座敷にも灯りがついた。その一室では芸者をはべらせて上機嫌の男が盃を傾けていた。特に気に入った一人を残して他の者を下がらせると、そっと残った芸者が近づいた。 「ユウナ様の勇姿をもっとお聞かせくださいな。」 とねだれば、男は鼻高々に語り始めた。 「ならば取って置きの話をしてあげるよ。ついさっきね、紫鬼とサーペントテールを潰し合わせたんだ。」 「まあ凄い!で、どのようにして?」 「互いが攻撃を仕掛けてきたように見せかけたのさ。そうすれば自ずと両者は戦って疲弊するだろ、そして止めをボクお抱えの忍がってね。最初はサーペントテールにブルーコスモスの遺産を持ってこさせるだけだったけど、紫鬼とサーペントテールを潰し合わせたボクの戦略はすぐに広まるだろう!!」 「すばらしいですわ。ですが、名が知れ渡れば命を狙われる危険が高くなるのではないでしょうか。」 芸者が瞳を潤ませながら上目遣いで気遣えば、ユウナは鼻を膨らましてまるで天下を取ったようにのけぞった。 「大丈夫さぁ。ボクの頭脳で返り討ちさ。」 「セイラン様。」 天井から降ってきた声にユウナの心は躍った。 「お待ちかねのブルーコスモスの遺産だ。」 スッと着地した忍にユウナは駆け寄ったのが忍の瞳は虚空をさ迷い、そして倒れてしまった。本能的に後ずさりした彼に無数の刃が突きつけられる。シン、レイ、劾、イライジャそして芸者から。 「なんで!?」 完全なる夜が世界を覆いつくし、芸者の瞳が紫色に怪しく光った。 「ボクの知略で死んだはずなのに〜。」 「うるさい。」 キラの拳がユウナの顔にめり込んだ。 「さてと、生きていることを後悔させてあげるv」 ゴスッ 「ぐぇ〜」 「あなたのせいで」 ボキッ 「くはっ!?」 「僕は…」 めきっ 「ああああああああぁぁぁぁぁ。」 「また バキン 「やっやめ・・・」 「あったんだから!!」 べちょ(?) 「レイッ!!キラさんがキレてる。」 見るに耐えられなくなったシンがレイの裾をつかんだがすぐに払われてしまった。 「気にするな。俺は気にしない。」 「そこで言う台詞じゃないだろ。」 「気にしたら死ぬぞ。」 こちらに強烈な視線を送るキラ(芸者姿)を目にして、ようやくシンは理解した。 「そうかもな。」 「死んじゃうよ〜。」 「むしろ死ね。」 ズドムッ 数日後、ザラ君国にタリアたちの一団が訪れた。ここでの公演も大成功。黒山の人だかりができていた。そこに紛れてキラとアスランも見物に来ていた。さながら町の青年その1とその2といったところだろう。 「やはり見せ物はこうでないとな。城では味気無い。」 「呑気だね。それに付き合わされている僕の身にもなれよ。アスラン。」 「そういえばラクスはどこに行ったんだ?」 「はっ?ラクスもなんて聞いてないよ。」 「昔、こうやって見に来て母上に怒られたりしたよな。」 「話題を変えないでよ。」 舞台ではヒルダによる猛獣ショーがクライマックスをむかえ、シホが現れた。アクロバットの技が決まる度に拍手と歓声がわく。 「で、ブルーコスモスの兵器はどうなったんだ?アーク公国が調査しているのだろう?」 「詳しくはスティングの報告待ちだけど、どうやらアレ一つだけじゃ意味がないらしいよ。で、ラクスは?」 「そうか間抜けだな。そのユウナとかいう奴は。」 話の通じないアスランにイラついてきた頃、運命の女神の悪戯が。 「「あー!!」」 突然の黄色い声に2人は耳を塞いだ。背後には大トリであるはずのホーク姉妹+女物の衣装。 嫌な予感。 「キラさん!もう一度私達と一緒に踊って下さい。」 「これを着てね。」 的中。 だが、ピンチは即ちチャンスである。 「お前、そんな趣味…」 間髪入れずにアスランの喉を手刀で潰す。(もちろん一時的) 「ルナマリアさん、メイリンさん。僕より彼のほうが上手だよ。」 「!!??(何言ってるんだお前!)」 必死に訴えようとアスランは口パクとジェスチャーをしたのだが、かえって仇となった。キラが声色を変えてアスランそっくりの声で 「キラに舞いを教えたのは何を隠そう、この俺だからな。」 「「じゃあ、行きましょう!!」」 ずるずると引きづられていくアスランの姿をキラは笑顔で見送った。アスランが恨みがましくこちらを睨んでいたのは気のせいだから気にしない。 「キラ!」 入れ代わりにステラとアウルが駆けよってきた。 「ステラ、楽しかった。」 「あのオッサン結構やるぜ。」 「そっか。また遊んでもらおうね。」 「うん!」「ああ!」 2人の遊び相手はもちろん黒ワカメの狸だ。勝手に人を利用した報いは終わらない。 舞台では飛び入り参加のラクスに民衆たちは熱狂している。そのバックの踊り子の中に女装したアスランの姿を見つけてキラは苦笑いした。 誰もそのことに気づかない平和なある日の出来事。 紫鬼、国主以外にその姿見せず。国主以外の命聞かず。全ての命を聞き叶えん・・・ 否、 国主以外の命も聞くが、その後生き残るものはいなし。 おまけ 原形をとどめていない男を引きずって歩く二人のつぶやき。 「まさかあの紫鬼があんな美少女だったとは。意外だな。」 「面白い冗談だ。」←無表情 「えっ?何が?」 |
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||