『あ〜、あ〜。・・・・・・これで入ってるの? アスラン』

『あ? 入ってるぞ。勿論この会話も』

『げ。どうやって削除するんだよ』

『残念だがな、一度録音した言葉は削除できない』

『・・・・・・は?』

『ラクスの希望だ。その時思っていること、感じていること、ついつい言ってしまった言葉。そう言う物も、残していた方がいいとの事だ』

『・・・・・・・・はぁ・・・・』

『・・・変なことは言えないな』

『・・・人事だと思って・・・。別に良いけどさ、結局聞くのは僕だけなんだし』


「んふふふふふ、残念ですが、実はわたくしも聞けるのですわv」



―――ここは、とある南国にある小島。

そこにぽつんと建っている孤児院で、キラはラクスや母、それに孤児院の子供達やマルキオ導師と暮らしていた。

無論、無い暇を無理やり作ってカガリとアスランもよくこの孤児院に遊びに来ていると言うことは、もはや言うまでもないだろう。


そんなある日、ラクスは突如キラに言ったのだ。


曰く、「日記をつけてみてはいかがですか?」との事。


その言葉にキラが「は?」と疑問の声を上げる暇もなく、ラクスはキラの隣で寛いでいたアスランに、機器の製作を依頼したのである。


しかも何とも不思議なことに、文章を打つ訳でも、手書きにする訳でもなく。

何故か音声オンリー。しかも一度言った言葉は覆すことのできないという機能付き。


キラは怪訝に思いつつも、こうしてたまに突拍子の無い事を言い出すラクスにも慣れていた為、結局特に疑問に思うでもなく、彼女の言葉通り日記をつける羽目になったのだった。



受難





『えっと、8月23日。今日から何故か日記をつけることになりました。

相変わらずラクスの思考回路はわかりません。

僕が何故日記如きに敬語を使っているのかもわかりません。

あえて言うならば気分でしょうか・・・・。


・・・・・・・・・・わからないと言いつつ回答しちゃったよ、おい。


ってかぶっちゃけ、日記なんて何を言えばいいのかわからないんだけど。

今日あった出来事?


ん〜?


何かあったっけ?


まぁとりあえず、アスランがこの機械を一日で作って持ってきてくれました。

顔が微妙に青かったけど・・・・・。また徹夜して作ったのかな?

いや、あのメカオタクは例え一週間寝ずにいても、メカを作った後ならば爽やか笑顔で肌もつるつるだったはず。

でも今日は青かったよな・・・・。

・・・・・・・・・・・・・そう言えば、微妙に憐れむような視線を送られたような気がする。

顔は引きつった笑いを浮かべ続けてたけど。目線も僕からずれてたけど。


・・・・・・・・・・・・・・・・・あのデコ、何か隠してやがるな? 今度聞き出さなくちゃ・・・・・』





「ふふふ、デコめ。感づかれるようなヘマをするなとあれほど言っておいたというのに・・・・。なんてヘタレなのでしょう、まったく。」







『8月24日。今日、子供達と海に出かけました。

あぁ、勿論ラクスや母さんも一緒に。

ってかつくづく思うんだけど、なんであの二人・・・・というか、アスランもなんだけど。

この南国に一年近く住みつづけているって言うのに、あんなに肌が白いんだろう・・・・。

女の人の神秘だね。それとも日焼け止めが素晴らしいのかな?


いや、問題はそれよりも、・・・・・・マルキオ導師なのかもしれない・・・・・。

だってあの白さは伊達ではない。むしろ青白い・・・・・・。

あの人、確かラクスや母さんよりも長くこの太陽のさんさんと照りつづける南の地・・・いや、普通に南国って言っちゃえば簡単なんだけど、太陽がギンギラギンな事を強調したかったんで、こう言ってみただけだからね。

で、話を戻してマルキオ導師? 何年間もこの南国に住んでるって言うのに、なんであんなに白いんだろう?

あの人まで日焼け止めを塗ってたとか言ったら、ぼく吐くよ?

やめてよね、男が・・・ってかいい年こいたおっさんが、日焼け止めとか。

いや、あの人に限ってそれは無いと思うからこんなことが言えるんだけど。

でもやっぱ、不思議だな〜・・・・・、マルキオ導師の決して焼けない青白い肌。

今度シモンズ主任に分析してもらおっかな? 導師の肌を持って。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・普通に止めておこう。こんなことを考えてしまった僕が馬鹿だった。


まぁそれはともかく、僕は子供達の総攻撃に合い、不覚にも全身びしょ濡れになってしまいました。

髪や服から水が滴り落ちるし、海水が目に入ってちょっと痛かったなぁ、涙出たし・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・でも僕的には、そんな子供達のいたずらより、カシャカシャ鳴ってたハロの方が気になったね。

しかも音と連動して目が光るんだ。・・・・・・・・・・・・・そう、まるでカメラのフラッシュのように・・・・・。

本当に僕、ラクスの思考回路がわからないよ・・・・・』





「まぁ、盗撮の事、バレていらしたのですか。・・・・・・ですがキラ、口に出して止めない限り、わたくしは止まりませんのよ?」







『8月25日。今日は何だか寝起きが最悪だった・・・・・。

だってやけに変な夢を見たんだ。

えっと、その内容が・・・・・・・


ビデオレンタル屋さんにビデオ借りに行ったら、二階に何故か会議室風の部屋があって、

何故か僕はその部屋の椅子に座り、何故か七歳児の天才少年の講義を受け、

うっかりその子が日本語を間違えちゃったから、やさしく、やんわりと小声で進言したら、

隣に座ってたアメリカ人のおっさんが「フェオ〜ィ」とか言い出して、何故か景色が暗転し、

ラクスに良く似たお嬢様風の女の子が、行き成り現れたステージのど真ん中にスポットライトに当たりながら、

黒スーツにグラサンをかけてる男の人と共に現れ、「ふふふ、お逃げなさいv」とか言ってその子が指パッチンしたら、

何故か天井からやけに長い複数の手が伸びてきて、僕の他に七歳児の天才少年の講義を受けていた人たちがどんどん上に引っ張られていってしまったので、

残った人たちと僕は良くわからないけど死にモノ狂いで逃げ惑ったんだ。

で、気が付いたら何故かスーパーの魚売り場にいて、

そのお嬢様風の女の子とうふふあははってあたかもソコが夕日が沈む砂浜であるが如く、鬼ごっこをしちゃって、

最終的には本当に追いかけてくる女の子が怖くなって、全速力で家まで帰ってきたという・・・・・・・。


こんな感じに、最初っから最後までやけに鮮明に覚えてるんだよ・・・・・!

僕、普通夢って言ったらその日の内に何を見たのかさえ忘れるのに・・・・・・!!

もうホント、気分が憂鬱だよ・・・・・・・。あの追いかけられる恐怖は忘れられない・・・・・!!

もう、あんな夢は御免だ・・・・・・。もっと幸せな夢をクダサイ・・・・・・!!』





「あらあら、初めてでしたからね、キラの夢に干渉してしまったようですわ。今夜はもっと上手くやらなくては・・・・・!」







『8月26日。今日も引き続き、夢のお話。

・・・・実は夢に今度こそ本物のラクスが出てきたんだ・・・・・。

そして僕は何故か彼女と優雅にお茶を飲み、その会話の中で彼女は「ふふふ、バルドフェルトさんのコーヒーが飲みたいですわね。」と穏やかに笑って言ってくださいました。

僕はにっこり笑いながら「一人で飲んでください。僕はもう、あんなのゴメンです。」と言いたかったのに、なのにっ!!

  何故か「そうだね、僕も飲みたいよ」って!!

夢の中でも恐ろしい事を言ってしまったんだよ!!

だってあのコーヒーとは思えないコーヒー!! 普通に飲んじゃってるマリューさんは絶対に味音痴だと見た!

ラクス!! 君は飲んだこと無いの!? 駄目だよ、夢の中でもそんな事を言っちゃ!!

君が体調を崩したら、僕はどうすればいいのか・・・・・・・・!!』





「まぁ、キラ・・・・・・っ!! 嬉しいですわ、日記でそんな事を言ってくれるなんて!!

ですが心配無用です、私はあの匂いを嗅いだ瞬間から、コーヒーアレルギーになりましたの。

そう言って私は彼のお誘いを退いたのですわ!! しかしカリダさんのいれてくださったコーヒーは飲みます!! 何故ならば普通に美味しいから!!

そしてわたくし、二回目の試みで成功しましたのね!? いかがですか、カリダさん?」

「えぇ、私の見込んだ通り、ラクスちゃんには素質があるみたいね。今日、明日で暗示は完了するかしら。 ラクスちゃん、頑張ってねv」

「はい、頑張りますわ!!」







『8月27日。ま、また夢にラクスが出てきた・・・・・・!

駄目だ、思い出すとお馬鹿な衝動に走ってしまいそう・・・・・・。

僕の舌と胃の為にも、それだけは駄目なんだ・・・・・・!!

と、言うことで、僕は今日丸々一日、ハッキングに費やそうと思う。無駄なこと考えられなくなるくらい、難易度の高い所に・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・ってそんなところあるの!? 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・思いつかない!!!


他に何か・・・・・・プログラミング、銃、格闘技、シュミレーション、子供達の相手・・・・・・・・・・駄目だ、没頭なんてとてもじゃないけど出来ない!!!


くっそぉ、こんな時“最高のコーディネイター”とかが裏目に出るんだな・・・・!!』





「まぁまぁまぁ! カリダさん、キラは暗示にかかりやすい体質ですの!?」

「さぁ、私はあの子に暗示をかけた事はないから・・・・・(嘘)。でも、そうなのかしら? それにラクスちゃんの力も強いからよ、きっと!」

「まぁ、ありがとうございます!」







『く・・・・・・・は、8月・・・・、28日・・・・・・・・・。

またラクスが夢に出てきた・・・・・・・・。

また優雅にお茶を飲みながら、

また言ったんだ・・・・・・・・・・・!!


「バルドフェルトさんのコーヒーを飲みたいですわね?」って・・・・・・・・・!!


僕は飲みたくない、決して飲みたくなんてないんだ!!!

なのに、何故僕はいつも「そうだね、僕も飲みたいよ」って言ってしまうんだ!!?

あああああぁ、駄目だ、僕の胃の為、舌の為、精神の為にも、耐え忍ぶんだ、僕!!







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無理だぁぁぁああああ!!!!







バルドフェルトさ〜ん! コーヒーいれてくれませんか〜!?(どんどん遠ざかっていく声)』







「あぁ、キラ、ついに陥落してくださいましたわね!!」

「すごいわぁ、ラクスちゃん! 小母さんなんだか嬉しい!」

「ありがとうございます、カリダさん!!」

「えぇ、でもそろそろ・・・・・」

「はい、そうですわね、行って参りますわ。」







――――その後。

ラクスは危うい所でキラを救出し、事の顛末を彼へと伝えたのだった。


曰く、「実はわたくし、とある方から“電波”という物をご教授いただいたのですわ。それを試してみたくて・・・・・。」という事だったらしい。

さらにその後暗示を解いてもらったキラは、半ばラクスに泣きつき、言ったのである。


「僕にはもうしないで! やるならアスランにやってよぉ・・・・・・!(泣)」


以降、ラクスの電波がキラのトラウマになってしまったことは、言うまでもなかろう。


そして、その彼の言葉に反省した彼女が、キラに対して電波を送るのを止めたのか否か。

・・・・・・・・・・・・・それもまた、言うまでもないことである。




(あとがき)
これほど会話文が多い話は、初めて書くかも知れません・・・・(滝汗)

そして、25日の夢。まさに私が10月25日に見た夢でございます!!

いやぁ、夕飯の時に韓国の7歳の天才少年のニュース見て、めちゃくちゃそれが印象に残ってたのは確かですが。

だって7歳で大学入学ですよ!? どういう頭してるの・・・・・!? って思うでしょう。

いやぁ、すごい。うん、スゴイ。




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