ず、ずずずずずずずずずずずずずずぅぅうぅううう・・・・・・・・・・・・


面白く、ない。


ずずずずずずずずずずずず、ずずず、ずぅううう・・・・・・


なんであいつらあんな急に仲良くなってんだ。


ずずずずずず、ずずずずずずずずぅ・・・・


 今アスランの視界には、仲良く会話しているニコルとイザークとキラが納まっている。

ディアッカとラスティは気配からしてたぶん後ろにいる。でもそんなことはかなりどうでもいい。


 一時間ほど前、イザークが手も足も出す前にキラに敗北してからすぐ。

あいつら3人はなぜかめちゃくちゃ仲がよくなった。

イザークは弟をかわいがるみたいに。

ニコルは兄を慕うように。

和やかな雰囲気。あれを見てイザークとニコルの仲がよくなかっただなんて、誰が信じようか。

キラがよいクッションになっているようで、今は随分と打ち解けているのだ。


・・・・・・・・・やはり面白くない。

 皆騙されてるぞ、キラはもっと黒い性格だ!!

いっそのことそう言ってしまいたい衝動に駆られる。


ず、ずずずずずずずううううううぅぅうず・・・・

「アスラン、うるさいよさっきから!中身無くなってるんだったらさっさと捨てる!!」


 キラが漸くこっちを見てくれた。そのことに我知らず嬉しくなりながら、アスランは先ほどからいやな音を立てていた空のジュースを、ごみ箱へと投げたのだった。



「うっわぁ、乙女化してんなぁ、アスラン。見た?キラに声かけられた時の嬉しそうな顔!」

「見た(気色悪ぃ・・・)。嫉妬に狂う男・・・っつーより餓鬼だな、ありゃ。」


などと、ぶっちゃけ先ほどからアスランを観察していたラスティとディアッカが会話していたことなど露とも知れず、アスランはそのままの勢いでキラたちとの会話に加わっていたのだった。



Bodyguards4





 今回のラクス・クラインの地球への訪問は、オーブとの友好の証としてのものだ。

国民的アイドルであるラクスを受け入れる、または送ることによって、オーブ・プラント間に戦闘の意思がない事を表す政治的意味合いのあるもの。

 道具扱いされるなんて。かわいそうにね、と心にもない事を思いながら、キラは背筋を伸ばして、民間船から降りてくる少女に視線を向けたのだった。


まず視界に入ったのはピンク色の髪。あれってやっぱ地毛なのかな、などとどうでも良いことを考えながら、彼女へ従者のように手を差し伸べるアスランを見る。

 この場面だけ見れば理想の王子様のような感じがするが、つい最近情けない姿を見たばかりなのでときめきも何もしない。

・・・・・・まぁ、ぶっちゃけ少し面白くないのだけれど。


 ラクスが民間船から大地に足をつけると、すぐさま新しい少女が民間船から顔を出した。

それを目に入れた途端、傍目にもわかるくらいキラの顔が弛緩したのだった。


「・・・・・・・・・・・・おい、キラ?」

それを隣で(ラクスの存在も忘れて)見ていたイザークが、行き成りのキラの表情の変化に戸惑いつつも声をかけた。

 だがしかし、キラは先ほどからずっと一点を見たままで、イザークの呼びかけにも気づいた様子がない。

 なんなんだ、と面白くない気分を味わいつつキラと同じ方向を見ると、そこには金髪の少女がシャトルから足を下ろし、キョロキョロと辺りを見回していたのだった。


 そして、不意にこちらに視線を向けたと思うと、

「・・・キラッ!!」

と、嬉しそうな笑顔で傍らの少年に声をかけ、そのまま小走りに近づいてきたのだった。

 更に驚いたことに、キラも嬉しそうに「カガリ!」と名を呼びながら走り寄り、さながら恋人のように周囲の目も気にせず抱擁を交わしたではないか!!

その光景は、まるで長い間逢っていなかった恋人達の再会を見ているよう。

顔が引きつるのを自覚しながら、イザークは少女に「キラから今すぐ離れろ!!」と声を張り上げようとした、その時。

 突如何処からかぬっとアスランが現れて、キラとカガリをべりっと引き剥がしたのだ。

そしてそのまま、自分の腕の中に閉じ込めるようにキラを抱きしめ、金髪の少女をにらむ。

 それを見、ちょっと待てラクス嬢はどうしたぁ!?と彼女を置き去りにしたことと、嫉妬丸出しで少女を睨む様子全部含めて突っ込もうとしたが、それさえも遮られてしまった。

「あらあら、カガリ。駄目ですわ、行き成り殿方に抱きついたりしては。」

と、青筋を浮かべた歌姫の声によって。

 あぁ何故だ、何故この南国で雪が吹き荒れる幻想が見えるのだ。

と、瞬時に下がった気温を意識しつつ歌姫を見ると、なんと彼女の腕の中にも先ほどの少女が納まっていたのだった。

 ラクスはキラに、アスランはカガリに見るからにわかる嫉妬の視線を送る中、それがいったい誰に対する嫉妬なのかわからないながらも、その光景を見ていた者たちは、皆一様にある単語が頭に渦巻いていたのだった。


・・・・・・・・・・・・・・き、禁断の四角関係・・・・・・!!?


と、いう言葉が!ちなみに諸君、「四角」はきちんと「よんかく」と読もう!!

 そんな周囲もなんのその。キラとカガリは互いに微笑み合い、しかしながら頭の中でいろいろなことを考えていたのだった。


 思い出すのは、抱き着いてすぐに交わされた会話だ。

『アスランに心当たりはないそうだよ。』
『ラクスもだ。』

と、色気も何も無い、聞いたものがいても何の事だかわからないような会話を。


 そう、何を隠そうこのカガリ、キラの実の双子の姉なのである。つまり、彼女もまた護衛一族に生まれた子供なのだ。

抱きついたのは秘密裏に情報を交換するため。その情報は「命を狙う人物や目的に心当たりはあるか」。


 別れる前にそう決めていたため、彼らは簡単に意思の疎通が取れたのだった。

 何を勘違いしているのか知らないが、自分たちを抱きしめている人物こそ、彼らの護衛相手なのである。

 つまり、カガリもラクスを護衛していたのだ。

そう、護衛対象は何もアスランだけではない。匿名の手紙には、「アスラン・ザラとその婚約者、または伴侶を守れ」と書いてあったのである。

 キラは密かに苦笑して、アスランを剥がしてラクスに言ったのだった。

「はじめまして、キラ・ヤマトと申します。ラクス様には姉がお世話になっているようで・・・。」

 そう言って、カガリにやさしい視線を向けてから、ラクスに微笑みかける。

「あら、弟さんでしたの。申し訳ありませんわ。わたくし邪推をしてしまいまして・・・・・・。」

 そう言って申し訳なさそうに笑う彼女に、キラはもう一度微笑み返したのだった。




(あとがき)
 色々と短縮している為に場面がコロコロ変わりますね・・・。



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