『陛下』

―――やめろ、虫唾が走る。

『今は魔術を磨く事だけを考えるべきなのです。』

―――そんな事が僕を城から出してくれない理由なわけ?

『激情を持ってはなりませんよ、貴方の気の乱れは魔界に影響を及ぼすのですから。』

―――だからと言って、僕から笑いさえも奪うつもりなの・・・・!?



求める





 日常は生まれて10年と経たない内に崩された。その時キラは人間でいう3歳ほどの子供だった。


 とある公園で、子供達が元気に走り回っている。すると突然一人のぱっと見性別がわからない子供が動きを止め、一緒に走っていた子供たちに声をかけ、注目を促した。

 急に動きを止められたと言うのに、子供たちは嫌な顔一つせず、逆に期待と好奇心の入り混じった目で声をかけた少年を見つめる。
 子供たちは、この綺麗な友達・・・キラという名の少年が、これから何をしようとしているのかわかっていたから。

キラは、子供たちの注目の中、短い詠唱をして体の前に水の竜を作り出した。

 すると子供たちは歓声をだし、口々にキラに賞賛の声をかけ、作り方を訊いたり、水の竜に触れたりした。


 それを穏やかな顔で見つめている者たちがいる。彼らの母親達だ。
子供たちの邪魔にならないように公園の端によって会話をしていたのだが、ふと自らの子供達が歓声を上げたので、視線をそちらの方に向けたのだ。

「見て、カリダ。またキラちゃんが魔術の披露をしているわ。」
「まぁ本当。今日は水竜ね。相変わらず見事な腕ねぇ。」
「そうそう、キラちゃんのおかげでウチの子の魔術の腕がものすごく高くなったのよ!」
こちらも口々にキラを賞賛する声を上げ、子供たちを穏やかな目で追っている。

 キラはその愛くるしい容姿と、子供ながら非常に魔力が強く、さまざまな魔術を自らあみ出しては披露することで、近所でも評判の子供だった。

 その見慣れた光景を見ながら、一人の夫人が思いついたように言う。

「キラちゃんなら、将来宮廷人になるのも夢じゃなさそうね。」

と。宮廷人とは、魔界で20位までの能力をもつ最高位の魔族のことを示す。彼らは、実力主義である魔界で高い地位をもち、それゆえに城に住み責務をこなす事から、宮廷人と呼ばれているのだ。

それを聞いて他の夫人たちも頷き、いっせいにカリダに視線を戻した。

 カリダは控えめな美人で、穏やかな性格と知識の人として、キラ共々有名だった。また、彼女は予知能力をもつ一族としても知られている。だからきっとカリダはそれに蔓延の笑顔で頷くだろう、と思っていたのだが、彼女はどこか上の空で、キラを見ながらあいまいに「えぇ・・・」とだけ言った。

 その様子に首をかしげながらも、彼女達は黙ってカリダの続く言葉を聞いていた。

「私にはキラの未来がよく見れないの・・・。魔力が強すぎて、薄いもやがかかっているみたいに。でも、宮廷からキラを迎えに来る場面は見えたわ。」

と。それを聞いた夫人たちはカリダに賛辞を送ったが、彼女はまだ浮かない顔をしている。

そして呟くように言うのだ。

「でも、私はキラが城に上がることを望まないわ・・・。城にいるあの子、とても寂しそうな顔をしていたの。悲しそうな、心が死んだような目を・・・。あの子にそんな顔させたくないのよ・・・。」

 その言葉に夫人たちは言葉を失った。予知したのだから、その未来は絶対に実現する。しかしあの明るいキラが、そんなことになるなんて、想像もつかないし憐れすぎる。

 しんみりしている空気に気付いたのか、カリダははっと我に返りいつものように穏やかに笑い、「まぁ、ごめんなさい。今のって息子自慢に入るかしら?」とおどけたように言った。

 その意図を察した一人の夫人が、周りに気付かれないように手でカリダの背をそっと一・二度叩いた。
元気付けるような、癒しの手をもつ一族の彼女なりの励ましに、カリダは涙が出そうになりながらも、明るく笑った。

 そしてまた一人の夫人がふと我に返り、「まぁ、もうこんな時間!」と言って他の夫人たちに時間を促す。
気付けば、もう夕食の準備をせねばならない時間だ。

 そして急いだように口々に子供たちを呼び寄せ、カリダとキラに励ましの言葉をかけてから解散した。

 その言葉を不思議そうな顔で受け取ったキラは、母親に「なんで『頑張って』?」と訊いたが、カリダはあいまいに微笑み、「なんでもないのよ」としか言わなかった。

 それでも納得してしまった幼い我が子を、カリダは珍しくも抱き上げて、「帰りましょうか」と言った。

母親に抱き上げてもらったの嬉しくて、キラは笑いながらカリダの首に抱きついた。

 そしてそのまま歩き出す。カリダは何かからキラを守るように、ぎゅっと家に着くまでキラを抱きしめ、放そうとはしなかった。


 その日の晩、キラは夢を見た。

黒い、漆黒に光る玉が、キラの体に入っていく夢だ。
キラはお腹にスムーズに入っていく黒い玉を、静かな――まるでそれが自らの一部であり、はいっていくのが当然とでもいうような――目で、見ていた。

 そして玉が完全に入ったところで、急に男が目の前に現われたのだ。

キラはそれに全く驚かなかったが、男は度肝を抜かれたように驚いていた。
「このような子供がか・・・!!」
とうめくように言っていたが、キラは何のことかはわからなかった。

 すると突然男は跪き、キラに向けて言った。

「明日の昼、迎えをよこします。入用なモノはこちらで用意致しますゆえ、家族との別れを済ましておいてください。」

と。キラが「貴方は誰?」と訊くと、男は答えた。

「我名はパトリック・ザラ。」

と。それから霞のように男は消え、キラも夢から覚めた。

 朝の定番、告死鳥の「ゴケゴッグォー」という鳴き声を聞きながら、キラは両親の寝室へ向かった。

 そして音も無く父と母の間に寝転び、その温もりに無意識に泣いた。

数分後、かすかに聞こえる泣き声に気付いたのか、ハルマが目を覚まし、常と異なる我が子の様子に、跳ね起きた。

「キラ!?なんだ、恐い夢でも見たのか!!?」

と。その声にカリダも起き、キラの様子に瞠目した。

 そして身を震わす。

この光景は、つい最近見たモノだ。
 予知中に見たもの、キラが連れて行かれるその日の朝の光景だ・・・!

それに気付いたカリダは軽い恐慌状態に陥り、キラを抱き上げて夫に「逃げましょう!!」と言った。

ハルマはカリダの様子にも驚いたが、母の腕の中でキラが「無理だよ・・・。」と力なく言ったことにも驚いた。

 確かにキラは他の子供たちよりも精神面での成長は早かったが、こんなにも悟ったような顔は出来ないはず。
いや、悟ったような・・・とは違う、諦めたような、だ。

 ハルマはカリダに落ち着くように促し、キラを見つめて静かに問うた。

「キラ、どう言うことだ?」

するとキラは父を見、母を見て言った。
「お母さんは、予知で見たんだね?この光景を・・・。お父さん、僕今日中にお別れをしろって言われた・・・。」

「・・・誰に?」

「パトリック・ザラって言う人・・・夢の中で、そういわれた。」

それを聞いてハルマが目を瞠り、カリダは力なくうなだれた。

「魔王陛下・・・!」

そう、「パトリック・ザラ」と言えば、魔界の最高実力者、魔王陛下そのひとなのだ。

なぜ、そのような方がキラを迎えに・・・?と思っていると、キラがハルマに抱きつきながら言った。

「あの人の中にあったものが、僕の中に移っちゃったの。」

と。ハルマはキラの背を撫でながら、震える声で「何を・・・?」と訊く。

「この世界の支配権・・・。この世界の知識・・・代々魔王に引き継がれる力を・・・。」
あの黒い玉・・・あれが、そうなのだ。と、キラは心の中で付け足した。

 その言葉に力なくうなだれていたカリダも、キラを抱きしめていたハルマも一瞬呼吸を止めた。

 そして恐る恐る訊ねる。

「キラ・・・貴方、新しい魔王陛下になってしまったの・・・?」

カリダの呆然とした声にキラはコクンと頷いた。

 ハルマはそれを素直に喜べなかった。普通なら、誇らしげに我が子の頭を撫でたり、よくやったと誉めるべきだろう。
 だが、カリダとキラの様子を見る限り、それが手放しに喜べる状態ではない事など嫌でもわかる。

 それに、キラはまだ9歳。いくら他より能力が上だろうが精神面が成長していようが、紛れも無く親の庇護が必要な歳なのだ。人間界でだって一般家庭で育った3歳の子供なんぞが王位に立つなんて事ありえない。必ず時期をまつか、代理人がいる。

 しかし魔界ではそんな事は言っていられない。実力が全てなのだ。王位の代理人だって立てられない。

 しかも城に入れる者は上位20位の実力者だけ。たとえ魔王の親だろうが一緒に暮らすわけには行かないのだ。

キラもそれをわかっているのだろう、静かにもう一度頷き、「会いに行くね。」と言って、ハルマから離れた。

 それから穏やかに、キラとハルマとカリダは昼まで過ごした。途中泣きそうになったがなんとか抑えて、始終笑顔で。


 そして正午、迎えは確かに来た。涙のにじむ顔で笑いながら「またね」といって、家族と別れたのだった。


「懐かしい・・・」

15年近く前のことを不意に思い出し、キラはそう呟いた。すでにキラは25歳。人間でいう8歳くらいの姿形である。

 今キラがいるのは城の庭園であり、人通りが少ないので芝生の上にゴロンと寝転がり、思う存分物思いに耽っていた。

 あれ以来両親とは会っていない。

会いたい。だが、周りがそれを許してはくれなかった。

 会いたいと泣き叫ぶ事も許されず、毎日勉強と責務をさせられ、誰もが自分を「陛下」と呼ぶ。一度第一補佐官となったパトリックに「名前で呼んでほしい」と言ったら、「恐れ多い」という理由で却下されてしまった。

 「城下に行きたい」、と言えば「今は勉強のほうが大事なのです」と言われ、「家族に会いたい」と言えば「感情を完全に抑える術を身に付けてからです」と返される。

 全ては魔界のため。魔界と魔王が密接に関わりすぎているから。

一度感情を爆発させ魔界を三日三晩暴風と雷雨と地震で混乱に陥らせたのは記憶に新しい。

 だから最近は誰もがキラを恐れ、腫れ物を扱うように接する。友達もいない。城には大人と大人の使い魔しかいないから。

一度だけ、教育係であるバルトフェルトに「両親とあわせて」とお願いしようかと思った時期がある。

 彼は優しく、力もあるためそれも可能だと思ったからだ。
しかしそれを実行に移す事は無かった。

 彼なら確かに尽力を尽くしてキラを連れ出してくれるだろう。だが、その後は?
いつかは必ず城に戻る羽目になる。その後、キラを秘密裏に連れ出したバルトフェルトは罰せられるのだ。もしかしたら教育係の任を解かれるかもしれない。
 それが、いやだった。キラはバルトフェルトのことが気に入っているのだ。
一時の自由の為に二度と彼と会えなくなるのは、なんとしても避けたかった。

だから、キラはバルトフェルトに胸の内を明かすような事はしなかったのだ。

キラは感情を抑えても尚でる涙で頬を濡らしながら、呟いた。
「友達・・・自由・・・両親・・・名前・・・感情・・・。どれでもいい、一つだけでもいいから返して・・・!」

 と。すると、意外にもその呟きに返事が返り、キラは思いっきり驚き、体をびくっと大きく振るわせた。

「じゃぁ、僕が友達になってあげ・・・その反応は酷くないか?」
まるで化け物と遭遇したみたいだ。

と、蒼白な顔で自分を見る綺麗な少年に、声をかけた翡翠のような瞳が目を引く少年はため息をついた。

 キラは一瞬で目の前の少年の正体を察し、自分の呟きを聞かれたことに羞恥よりもしまった、と言う思いが募ったが、少年は全く気にせずに言葉を続けた。

「そりゃ密かに君に近づいたのは悪いと思うけど・・・。窓から君の姿が見えていてもたってもいられなくてついつい空間移動しちゃって。だってここ子供の姿が全く見えなかったから、君を逃しちゃ絶対友達作る機会が無くなるでしょう。って、話脱線しちゃったね。とにかく、友達になってよ。僕使い魔とか全く気にしないから!」

と、立て続けに言う少年に、キラはすぐに言葉を返すことが出来なかった。

 その魔力の強さからかなり高い地位についている事は少年と会ってすぐにわかった。
 だから、「窓から見えた」と言う事はこの城に暮らしている、と言うことに繋がる。今この城に住む子供は、キラを除いてただ一人。第二位たるパトリック・ザラの息子、第十位に位置するアスラン・ザラだけだ。

 よって目の前の少年がその人物であることを確信する。
厄介な人物に聞かれたな・・・と思っていたが、どうやらアスランはキラの正体に気付いていないようだ。

 そしてはっと気付く。
そういえば、使い魔たる女官に自分が見つからないように、魔力を最低ラインまで抑えていたのだ。
 こんなに魔力の低い、しかも子供が魔王とか宮廷人だとかなど、誰が思うだろう。

 これは嬉しい偶然だ、と思い、キラはアスランに笑顔を向けた。久しぶりの笑顔だ。

 それを見たアスランも笑顔を浮かべ、それからそっとキラの頬をぬぐった。

 窓から見える少年の姿が気になっていたのは本当だ。だが、あからさまに魔力の低い使い魔とわかる少年に自分から近づこうとは思わなかった。

しかし、その少年の泣く姿を見て気が変わった。

 全く感情の伺えない顔で静かに涙をこぼしていたのだ。その姿が非常に魅力的で、気が付いたらアスランはキラの近くに空間移動していた。

 そしてその少年のうつろな声を聞いたのだ。友達と自由と両親と名前と感情。誰もが持っていて当たり前のモノを、少年は求めていた。

 それを聞いてアスランは不思議な衝動に駆られ、自らが友達に、と名乗り出たのだった。

 自分に触れてくる手を不思議そうな顔で見ている少年に、「使い魔の癖に綺麗な顔だね・・・」と苦笑と共に心の中で呟き、アスランは少年に向けて言った。

「泣く時くらいは、感情を表に出さなくちゃいけないよ。でないと、いつかは心が死んじゃうって。この間僕も母上に言われたんだ。」

 そう言うと、少年は驚いたように「レノアさんが・・・?」と言った。

使い魔だから第六位たる宮廷人の母親を知っていて当然だが、その呟きに親しみがこもっているような感じがする。だがそれは気にせずに頷き、この間母が自分に聞かせた話を少年にも話した。

「いい、アスラン。貴方は今みたいに悲しくても寂しくても、必死にその感情を抑えようとしているけれど、本当はそんなことしてはならないのです。
確かに、私達のような地位を持つ者が感情を表に出さないのは基本です。ですが、気心の知る者たちの前や、泣く時くらいは感情を表に出しなさい。でなければ、いつかは思いを抑えることになれてしまい、心が死んでしまうのです。文字通り、感情を殺して生活することになるのですよ。
 ・・・貴方の父上がその結果です。そうする事を周りに強制させられたのです。今、あの人も同じ過ちを犯そうとしています。
 強制されているわけではない貴方くらい、彼らのためにも心から泣きなさい。」

「・・・って。母さんが言うには、父上も昔はとても穏やかでいい人だったらしい。多分君も知っているだろうけど、父上は元魔王陛下なんだ。・・・母上がちゃんと口にしたわけではないけれど、多分今の魔王陛下も同じような事になってる。だから、陛下のかわりに僕たちが感情を表に出すんだ。陛下が僕らを見て感情を忘れないように、子供の特権を使ってさ。」

 と。キラはアスランがわかって言っているのだろうか、と頭の片隅で思いながらも、そう言ってくれた事が嬉しくて笑いながら泣いた。

ついでにアスランに抱きつく。

 アスランは急なことで驚きながら、キラの背をそっとなで続けた。

そしてキラの笑い泣きが粗方収まってきた時、ふと視界が明るくなったように感じて、アスランは視線を上空に向けた。
 そして歓声を上げる。

「見て!!空が青い!!」

と。魔界では常に空は雲で覆われていて、青空が広がることは本当にまれだ。

 魔王陛下のご機嫌がよろしいのかな、と言いながら、同じように空を見上げていた少年に視線を戻した。

 少年の目には涙がたまり、その紫水晶のような瞳を更に美しいモノにしていた。そして口には穏やかな笑みが浮かんでいる。

 それがたまらなく魅力的で、アスランは少年の額にそっと口付けながら、言った。

「僕はアスラン。君は?」

アスランのそんな行動に頬を染めながら、キラは答えた。

「・・・キラ。」

 それを聞いたアスランは嬉しそうに何度か「キラ」という言葉を口にのせ、それから言った。

「キラ、僕君に恋しちゃったみたいなんだ。僕のところに移らない?」

と。「君の主人って誰?いい人ならいいんだけど・・・。」などと言う今だ誤解したままのアスランに、キラは一通り笑った後、静かに言った。

「お願いがあるんだ。」

するとアスランは微笑み、嬉しそうな顔で「なぁに?」と言った。

「公式の場以外では、常に名前で呼んで?」

と。するとアスランは「もちろん!!」と喜んでいった。尻尾を懸命にふる幻想が見えるのは気のせいなのだろうか。

その時、犬のような反応を返すアスランに、キラの中で何かが「目覚めた」。

 キラは小首をかしげてかわいらしく微笑み、アスランに言った。

「うん。ありがとう。その約束忘れないでね。あ、言うの忘れてたけど、僕君の言う「魔王陛下」とやらなんだ〜。いや、嬉しいよ。僕これで友達と名前と感情を一気に取り戻したんだね!!」

 そう言いながらきらきらと目を輝かせるキラに、アスランは「そっか〜」と頷いたあと、数秒後叫んだ。



「いやぁ、その時のアスランは面白かったなぁ。顔を青くしたり赤くしたり。意味不明なこと叫びながらも最後には腹くくったみたいで僕の手ぇしっかり握って「父上の前も免除してくれ!!」とか言って。その後もちゃあんと約束守ってくれて、友達感覚崩そうとしなかったし。それにどれほど救われたか・・・!」

キラがそう言い、涙をぬぐう真似をすると、ラクスは手をポン、と合わせ、言った。

「まぁ、キラの子悪魔のような性格はそうして目覚めたのですね!!アスランの犬属性を見て!!流石山犬一族!いえ、違いましたわ。流石アスラン!!」

スティングは顔を引きつらせ、「あいつ山犬一族だったのか・・・」と言い、
アウルは「魔王陛下ってのも大変だったんだな〜」と言い、
ステラはキラに寄りかかりながら「次はラクスとの出会い、教えて?」といっている。
キラはそれに穏やかに微笑みながら了承し、ラクスを振り向いた。

するとラクスも同じような笑顔を浮かべ、話しだす前に「新しい紅茶とお菓子を用意して参りますわ。」と言って部屋を出て行った。

 今日は、さまざまな魔界での勉強に精をだす3人に、何か褒美をあげる、と言ったらステラが「お話、して?」と言って他2人もそれに頷いたので、キラはアスランとラクスとの出会いを語っていたのだ。

 キラは覚めてしまった紅茶でのどを潤しながら、心の中で言った。

 本当に、アスランには感謝している。
彼がいなければ、自分の心は今ごろ死んでいた。前魔王のように、堅物で感情のない魔王になっていただろう。

 でも、彼がいたからこそ、キラは魔王という地位を有効活用できるようになっていた

 あれから両親とそう時間をかけずに会う事が出来た事も然り、代理人制度然り、さまざまな試験を通過した者は人間界に送ってやることも然り、感情を捨てずにいる事も然り、どんな種族も受けいれる風潮も然り。

 全てアスランという心の支えがあったからこそ成し遂げられたことだ。最近はかつての重役のほとんどが城から降りている。

 だからもううるさく言ってくる堅物はいない。よって、キラはもっとこの地位で生涯を楽しむつもりである。

 




(あとがき)
(本文より)王位の代理人だって立てられない>>
普通にキラ君代理人立ててたよね・・・?と言うかた、その通り。
ですがあれは型破りなのですよ。代々魔王はそんな事出来ませんでしたししようともしなかったので。
 人間界に行くのに必要だから代理人を作るようになったのですよ、流石何でもありな当サイトの主人公!!ってね。



 BACK  TOP  NEXT
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送