ほのぼのとした、それでいて何処か緊張感の漂う雰囲気の中、シンは懐に手を入れて古びたお守りを握った。

それは、妹のマユが幼い頃自分に縫ってくれた、大事な、大事なお守り。

 それを優しく、しかし力いっぱい握って、もうこの世にはいない妹へと誓うのだ。


『ごめんな、マユ。俺、キラさんとレイに応えたい・・・・・・・。

―――――俺は、ジブリール帝国を壊さない。ただ、解体するだけにするよ。

国王は憎いけど、殺さない。違う種類の責め苦を味あわせるんだ・・・・・・。

キラさんなら、俺と同じ道をたどったらしいキラさんなら、死ぬよりも一層辛い苦しみを与えてくれそうだし、そっちの方法をとる。

 お前の仇は取れないけど・・・・・優しいお前ならそんなこと気にしないよな・・・・・・。

いや、むしろ殺さないことを喜んでくれるかも・・・・・・。

しかも『お兄ぃ〜ちゃ〜ん!!!』って言って抱きしめてくれるかも・・・・・・?』



「・・・・・・・・・・・ねぇ、何か今聞き捨てならない言葉を聞いた気がするんだけど・・・・・。」

「あぁ、『キラさんなら、死ぬよりも一層辛い苦しみを与えてくれそう』って所か? 事実だろ?」

「というより、このお花を飛ばしてトリップしているおめでたいヤツをどうにかしてください。」


シンは言葉に出さずに亡き妹に誓っているつもりらしいか、実際は最初っから思いっきり口に出している上に、何を想像しているのか目を閉じて頬を高揚させ、後ろに可憐な野花が咲いていそうな雰囲気を醸し出しているのだ。


 いつの間に妄想癖を身に付けたんだ・・・・・・と思いつつ、シンの暴走を止めるつもりの無いキラとカガリを見、レイは一つため息を吐いたのだった。


 しかし、内心ではシンの無意識の言葉を聞けてよかったと思う自分がいる。

何故ならば、自分とキラがシンに言いたかったことを、彼がすでに気付いていたと知れたから。


キラは暗に「暗い感情を持ちつづけると後が辛いよ」と忠告し、

レイはそれがシンの為になることなのだと判断し、自分からキラの目的に参加を申し出、シンも賛同するように促したのだ。

それは、「キラさんとレイに応えたい」・・・この言葉が、シンがレイとキラの行動の意味をきちんと理解しているのだと、表していた。


レイは自分の行動がプラスになってよかった・・・・・と思いつつ、意識をお花畑に―――もしかしたら夕日の落ちる砂浜かもしれないが―――飛ばしているシンの脳天に、思いっきり拳を振り下ろしたのだった。



紫鬼 〜第拾肆話〜





まともに訓練された忍の攻撃を頭に受けたシンは、しばらくさっきとは違う意味で意識を飛ばし、数分後に漸く正気を取り戻した。

それからすぐ、ふと思い出した言葉を、そのまま疑問として口に出したのだった。


「そう言えばキラさん、人質って・・・・・・?」


その言葉に思わず眉根を寄せたカガリ。

キラは悲しそうに微笑んで、「うん。」と頷いていた。

シンはその二人の反応に「まずいことを聞いたか」と一瞬後悔したが、キラがそのまま話し出したので大人しく聞くことにしたのだった。


「君は以前、僕が何処で忍としての技術を身に付けたのか、質問したことがあったね?」

「は、はい。」


カガリは無言で、しかめっ面のままぎゅっとキラの服を握る。

自分でもこの行動の意味はわからない。ただ、もしかしたら先を言って欲しくないのかもしれない。

辛い過去を何度も話して欲しくないのもあったし、それ以上にキラが今まで少年達に隠していた事実を伝えようとしているのだ。

それが、たった今他の真実を知ったばかりの彼らにどういった影響を及ぼすか、カガリにはわからなかった。


 精神的にまだ未熟なシンのことだ、キラに酷いことを言うかも知れない。


そんな不安が、カガリの胸に渦巻いていたのだった。


しかし彼は「大丈夫」とでも言いたげに、相変わらずの穏やかな顔でカガリに笑いかける。

 だがそれが、ただの取り繕った笑いでしかないことに気付かぬ彼女ではない。

 更に眉根を近づけ、より強く服を握ると、キラは本物の苦笑を顔に浮かべて、そっとカガリの髪を梳いたのだった。


その瞳には、ちゃんと彼らしい“慈しみ”の感情が浮かんでいる。その事に安堵しながら、シンとレイはキラの次の言葉を待っていた。

 キラが今、重要な話をしようとしていることには気付いている。そしてそれは、カガリが言わせるのを躊躇うような話であるのだと、しっかり解っていた。

だが好奇心もあるし、キラ自身が「話さねばならないこと」と認知しているらしい様子に、彼らは聞くことを望んでいたのだ。


 キラはしばらく、困ったように笑ってカガリを撫で続けた後、シンたちの様子を見てまたその笑みを深めたのだった。


そして、唐突に告げたのだ。


「・・・・・・僕はザラ出身の、元ブルーコスモス―――ジブリールの忍だよ。」

「「・・・・・・・・・・・・・ぇ・・・・・?」」


キラはカガリの手が離れて行くのを見、自分の言葉に固まった少年達に視線を戻した。

戸惑って当然だ。話が人質と言う話題からずれているし、何よりも先ほどキラは「ジブリールを解体する」と、「最愛の人をジブリールに殺された」と、そう言っていたのだから。


 しかも先日、キラはレイの前でジブリールの忍を殺している。・・・レイとて体に巻かれた青い鉢巻が意味する事くらい知っているのだから、それは確かなことで。

 シンだってレイとキラの口から別々に聞かされ、その旨は知っているはずだ。


 それは先ほどの、ジブリールに敵対する要因や目的だけ・・を聞いていたならば納得できる事だが、更にそこに所属していたという過去を持っているとなれば、話は別だ。

――――何があったのかはわからないが、それが意味するのは、自分が所属していた国を裏切る行為に他ならない、という事。


 国に生まれ、その国と一族に一生忠誠を誓う忍としての常識が、キラの行動は異常であると、裏切り者なのだと批難さえしてしまいそうだ。


―――――その時、シンとレイは混乱のあまりすっぱりと、先ほどキラから聞かされたばかりの情報を忘れていたのだった。


彼らが混乱しているのを見ながら、しかしキラは何も言わずに、ただ彼らが情報を処理し終わることを待っていたのだった。


 そしてシンは混乱したまま、つい先日したばかりの、キラとの会話を思い出していた。


「あ、あんた『ジブリールのために動いた事はないし、味方になった覚えも無い』って言ってたじゃないか!!? 嘘ついてたのかよ!!」


シンの顔が一気に泣きそうな表情になったのに気付き、キラは目を伏せて何かに耐えるように答えたのだった。


「・・・・・・・・・・結果的に言えば、嘘になるね。」

「そんな!!」

「シン!!」

シンが信じたくない、とでも言いたげに首を振り、立ち上がって糾弾の声を上げようとしたその時、何処か焦ったような声でレイがシンの名を呼んだ。

反射的に言葉を飲み込んでそちらを向くと、レイは漸く思考力を取り戻し、しばらく眉根を寄せて何かを思案しているようだった。

その動かない様子に苛々したシンは続きを言おうと口を開いたが、先ほど与えられた情報と言葉をしっかり思い出たレイが、それを遮るように言葉を発したのだった。


「人質・・・・・・人質だ、シン。」

そう言われても、シンには一瞬何のことだか解らなかった。

しかし、その不穏な言葉に、漸く先ほどのキラの言葉を思い出すことは出来た。だがレイもキラも言葉が足りなすぎて、全く話が見えない。


「そう言えば、人質の話は何処いったんだよ・・・・・。」


隠しもしない、シンの怒りと悲しみという感情を一身に受けつつも、キラは静かな表情のまま続きを言ったのだった。


「・・・・・世間に知られてはいないけど、ジブリールはたまに他国から使えそうな者を浚ってくることがある。・・・・・・人質として、その人物の身近な人物と一緒に。」


その言葉に、シンは一瞬動きを止めた。

 そこまで言われれば彼にも解るのだ。つまりその浚われてきた者の一人がキラで、彼は人質の命の為にジブリールの仕事をしていた。

ジブリールの為ではなく、人質の為に動き、人質がいるから逆らわなかっただけで、味方となった覚えは無い。

そう言いたいのか。

だが、だからと言って嘘をついていた事実に代わりは無いのだ。


―――――何て言い訳くさいことを―――――・・・。


尚もそう続けようとしたが、シンはキラの瞳の奥に潜む感情に付いてしまい、それ以上は言うことが出来なくなってしまった。


 彼の瞳に移る感情・・・・それは憎悪ではなく、哀愁でもなく、先ほどの見た者をぞっとさせるような「無」の表情でもなくて。


それは・・・・・・・・・・・罪悪感という、感情。


「な、に・・・?」


何故そんな感情が出てきたのかと戸惑っていると、キラはふ、とシンから視線を逸らして、呟くように言ったのだった。


「人質という存在を嘘の言い訳にするつもりはないよ。本当はね、君達にこんなこと言うつもりもなかったんだ。・・・・・・けど、そう言う訳にもいかなくなってね・・・・・・・・。」


 そう言うや否や、徐に苦無を取り出してシン達の背後へと投げつけたのだった。

その行き成りの行動に驚くと同時に、背後で金属のぶつかり合う音が鳴り響く。


 すぐさまそちらへと視線を向ければ、そこには――――――・・・・。


「女、の、子・・・・・・・・・・・?」


シンは、自分でも結構間の抜けた声を上げてしまった自覚はある。

しかし、その可憐な風貌とは裏腹に、痺れているらしい手を握って敵意剥き出しの瞳で此方を見る少女に、シンは反射的に反撃体勢へと移ろうとしたのだった。


―――――――しかし、体が動かない。


今度はいったい何なんだ!!!!!!

と苛々と叫びそうになったのをなけなしの理性で抑え、シンは体が動かない要因を普通に作りそうな人物へと視線を向けたのだった。


「ステラ、部屋に戻って。」

「・・・・・・・・っうるさい!!!!」


シンの視線の先、そこにはキラが真剣な表情のまま、シンと少女に向けて拳を突き出すような格好のまま座っていたのだ。

 少女も半開きのドアの前に立ったまま動かない。・・・否、シンと同じように動けないのだろう。

レイは・・・・と思ってそちらに視線をむけると、何と驚いたことに、彼は優雅にお茶を飲んでいたのだ。


「レイ、お前なんで動けんの・・・・・・・?」

「拘束されてないからに決まっているだろう。」


そりゃそうだけど・・・・・と小さく呟き、ってそう言う問題じゃない!!! とまたヒステリックに叫びそうになったが、今度はレイに口を塞がれて言えなかった。


何かこの状況も、つい最近経験したような気が・・・・・と思いつつ、シンはレイの声にしぶしぶ頷き、彼の指示に従うことにしたのだった。


曰く、「静かにしてろ。お前が入るとこの状況がややこしくなる」とのことらしい。

 たしかになんだか自分が入ってはいけないお話へ突入しそうだったので、シンも口を閉ざす他無かったのである。



そんな彼らのお馴染みの行動(ぇ)に構いもせず、キラは困ったように笑うと、徐に少女の方へと突き出していた拳を、自分の方へと引っ張った。

それと同時に引っ張られたように前に動いた少女の体。


レイは「操り糸のようだな・・・・」と内心で感想をこぼし、隣に不自然な格好で座るシンをよく観察してみることにした。


「鋼糸だな・・・・・・・・・・。」


こんな使い道もあるのか・・・・・。と思いつつ、シンの体には触れないように気をつけながら、彼の体に巻きついている鋼の糸を見る。


しかし、やはりただの細い糸にしか見えない。

じっとシンの体を観察するレイに、シンは何だか頭が痛くなってきたのだった。



―――話を戻して、ステラとキラだ。ちなみにカガリはお茶を入れつつ傍観姿勢。


「じゃぁおいで、ステラ。怒らないから。」


まるで幼児に言い聞かせるような口調に、シンは違和感を抱きつつも少女とキラを交互に見る。


「・・・・・・・・・・・・・い・・・・や。」


嫌だと拒否しつつも少女の顔は泣きそうに歪んでいた。

それは、恐怖からのものと言うより、行きたいのに行けない、複雑な心境を表している顔だ。


「・・・・・・・・・・おいで、ステラ。」


殊更優しく、穏やかに言うキラ。そんな彼の姿をはじめて見たシンは、少しばかり少女に嫉妬の念を抱きながら、キラが両の拳を一度開き、指を複雑に動かしてから腕を下ろしたのを見届けた。

それと同時に戻った体の自由。しかしシンは動くことはせずに、じっとキラを見ていたのだった。


「俺には、そんな顔もそんな声も掛けてくれないのに・・・・・・・・・・・・。」


その小さな声は、隣にいたレイ位しか聞こえなかっただろう。

 だが今はそんなことなどどうでもよく、シンは見捨てられた幼子のような心境を味わっていたのである。

しかしそんなシンの内心にはやはり気付かず、キラと少女の攻防は尚も続いているのだった。


「ステラ。」


少女はいやいやをするように、頭を抱えて顔を左右に振った。

しかしキラは、そんな彼女の内心を見透かしているように柔らかく微笑み、尚も名を呼びつづける。


「ステラ。」


少女の動きが、止まった。


「おいで、ステラ。」


それが、最後だった。

少女は涙をボロボロ流しながらキラに近づき、静かに彼に抱きついたのだ。


 キラもそんな少女を優しく受け止め、やはり幼子にするように優しく背中を撫でてあげたのだった。





「キラさん、その娘・・・・・・・何者なのかお聞きしてもよろしいですか?」


少女がキラに抱きついたまま寝入ったのを確認し、レイは徐にそう切り出した。

 シンはキラ・・・と言うよりステラを面白くなさそうに見ながらも、意識は彼に向かっている。

 カガリはそんなシンの様子をニヤニヤしながら見てから、「紅茶を入れなおしてくる。」といって去っていった。

それを見届け、漸くキラが口を開く。


「この子はステラ。・・・・・・僕がブルーコスモスに居た時の部下だ。」


 一瞬、シンの体が硬直した。


「じゃぁ、その子も・・・・・・・・?」

―――ジブリールの忍なのか。

そう言ってから先ほど少女が出てきたドア付近を見ると、そこには小刀が、キラの苦無と一緒に落ちていた。

 彼が苦無を投げたときにした金属音はこの小刀を弾いた音か。そして少女はそれを握っていたから、手が痺れていた、と。


シンにしては意外なほど冷静に状況を把握しながら、苦々しげな顔でステラを見る。


――――例え、国主を殺さない、国を壊さないと誓っても、そう簡単に捨てることのできない感情と言う物がある。

それは、キラとて同じこと。

 シンの心境が自分のことのように良くわかり、キラは苦笑をこぼし、次いで顔を真剣なものに変えて口を開いたのだった。


「ステラが憎い・・・・・・? 僕も彼ら以外のブルーコスモスが憎いよ。」


 自分が精神的に限界がきていたとき、心を和ませてくれた子供達。

キラは彼らが本当に大事だった。あの壊れかけた空間の中での、心の支えだったのだ。

 なのに、死んだ。・・・・・そう、思っていた。


「大事な物ばかりを僕から奪う、そんなブルーコスモスが、今も憎い。」


大事な子供達も死んだ分、憎しみは助長した。

でも、やはりこの子達は別。贔屓だって、矛盾してたっていい。


キラは静かに、慈しみの篭った瞳をステラに向けながら、そっと彼女の髪を梳いていた。

シンはそれをなんとも言えない、複雑な表情で見ながら、続けられた言葉を大人しく聞く。


「シン、レイ。ステラを知って。彼女の性格や、長所や、短所を。ブルーコスモスという枠組みで見ないで、彼女個人を知って。
 ―――彼女ももう、ブルーコスモスなんかじゃないんだし・・・・・・。」


シンはそれを聞き、でも・・・・・・と俯きながら呟いた。


「“ステラ”って、昨日俺達を襲ってきたヤツの一人だろ・・・・・・?」


そう、確かにキラは「ステラ」と言っていた。思い起こせば、そのとき聞こえた少女の声は、さっき聞いたステラの声だったのだ。

 まさか昨日の今日で忍をやめられるはずが無いし、先ほどだって逃げるために小刀を握っていたのだろう。

なのに、ブルーコスモスではない・・・・・・・・。そう言うキラに、躊躇いがちに尋ねてみたのだった。

 キラは苦笑して、「そうだったね。」と言うと、今度は悲しげに笑ってこう続けたのだった。


「でも、僕が・・辞めさせる。ステラと、昨日の二人。彼らは薬と催眠術で日常的に能力強化や記憶操作をされてるんだ。
・・・・・・・そんな事をされるところに、置いておきたくなんてない。君達は嫌かも知れないけど、僕は彼らも一緒に・・・・・・」


キラの語る言葉を驚きながら聞いている途中、シンは彼の悲しげな顔と口調についに耐え切れなくなり、彼の言葉を遮ったのだ。


「いい。」

と、ただそれだけ言うことで。

え? とキラの視線が漸く自分に向かったことに我知らず満足しながら、シンはブッスーとした顔のまま続けて言ったのだった。


「いいですよ、気にしない。・・・努力もする。」

「え・・・・・・・・?」


一瞬何を言っているのかわからない、とでも言いたげな、きょとんとしたキラの表情を見て、こんな顔も出来るんだな・・・・・とシンが思っていると、続けてレイも言葉を発したのだった。


「俺も、気にしませんよ。むしろ彼らの動きは素晴らしかったですし、連れて行くのでしたら戦力としても期待します。
・・・・・・・・・それに俺は、貴方に全幅の信頼を向けてますから。貴方がそう望むなら、俺はその通りに動きましょう。」


と、いつの間に移動したのかキラの隣に腰掛けて彼の両手を握り締め、あまつさえ王子様スマイルを浮かべて口説くように言っていたのを見た日にゃぁ、シンも思わず対抗心を燃やしてしまって叫ぶように宣言したのだった。


「俺だって!!! これでもあんたのことは信頼してるからな!! 嘘ついてたこともこの際水に流すし!! あいつらとも仲良くしてやるよ!! だからっ!!」


先ほどの言動を棚に上げてそう言いきったシンの剣幕に若干びびりながらも、キラはレイに手を握られたまま先を促す。


「だ、だから・・・・・?」




俺にもあのくらい優しくしてくれーーーーーーーーー!!!





シンの絶叫が部屋に余韻を響かせていると、徐にキラの腕の中にいたステラが呟いた。


「うるさ・・・・・・」


どうやら音で起きてしまったようだ。まぁ、当たり前か。と内心で苦笑して、キラは懐から先ほど調合したばかりの薬を取り出した。


「あ、ステラ、今のうちにこの薬飲んでおいて・・・・・・・?」

「ん。」


すでに何の警戒もせずに、与えられた薬と水を飲むステラに懐かしい思いをしながら、キラは首を傾げて、肩で息をしているシンに向けて言ったのだった。


「・・・・・・・・・・・・・君は娘息子って柄じゃないしな・・・・。ポチでいく?」


と、意味不明な言葉を。

思わず「は?」と聞き返すと、キラはにっこりと笑って繰り返したのである。


「ステラは末娘、スティングは長男、アウルは次男。シンはやっぱり、ポチ(犬)でしょう・・・・・・・・?」


でしょう・・・・・? と聞かれても・・・・・・。と何故か背中に冷たい汗が滲むのを感じながら、シンは顔を引きつらせてキラを見ていた。


そこには、すでに先ほどの悲しげな笑みを浮かべる麗人などいない。

シンにとってはすでに馴染みである、あの黒い笑顔を浮かべた青年が少女を抱きかかえて座っていたのである。





「もしかして、騙された・・・・・・・・・・・?」





さぁ、どうでしょう?





(あとがき)
 あ〜・・・・。収集がつかなくなったので愛の力†(笑)で丸く収めてみましたUu

すごいすごい。キラステ・キラカガ・シンキラ・レイキラ・レイシン・・・・・うっすいけど雑食な回なこっちゃ。(爆

 この回の文は、前回に短くするために切った文章をコッチにまんま持ってきたので、話を繋げるのが大変でした・・・。



     
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