その後、訳のわからない衝動にかられて「ミネルバ」と「ミネルバクルー」、それと「ミーア」について根こそぎ調べた。そして更なる衝撃を受けた。

「ミーア・キャンベル…ラクスの声に似ているからという理由だけで整形され体の良い人形同然とされている…。ミネルバ…先日できたばかりの最新鋭の艦…そしてそれに搭載するインパルス…ともに初陣はアーモリー・ワンでのザフトの最新鋭MS三機の地球軍による奪取の時。…まるでヘリアポリスの再現みたいだな…。」

キラはパソコンのディスプレーを見ずに天井を凝視して自嘲気味に言い、さらに独白する。

「ミネルバの搭乗員に…ザフトレッド三名。レイ・ザ・バレル、ルナマリア・ホーク、シン・アスカ。
ルナマリアにいたっては彼女に凄く似てるし、シンにいたってはオーブ戦の時に両親を失っている。そのとき丁度上空にいたのはフリーダム…レイは僕が殺した男のクローン、今はアスランも乗艦…タリア艦長とともにフェイスの一員として。……偶然としてはできすぎだって…。」

キラは辛そうに眉根をよせ、目を閉じた。

 アスランの居場所はわかった。それは喜ばしいことだが、場所が問題だ。彼は今ザフト艦に乗艦している。通信を繋ぐのは、不可能ではないがかなり危険な綱を渡ることとなる。

 それに…

「また、敵同士…。あのへたれ…」

キラはなんだか泣きそうになった。



知られざる真実と信実2





 キラはパソコンの電源を切り、神経を落ち着かせるために深呼吸を繰返した。
 先ほどインパルスのOSを気分転換になるかと思い、覗いたのがわるかった。これも偶然なのかなんなのかしらないが、なんとキラの元・搭乗機、ストライクのOSが組み込まれていたのだ。もとからあったOSならまだいい。しかしインパルスにはキラが「改良」したOSが乗っていたのだ。

 親友曰く「めちゃくちゃな組み方」のせいですぐに自分の作ったものだとわかってしまった。

 キラは眉根を寄せて椅子の上で膝を抱えて丸まった。自身を包み込むように、それでいて何かをこらえているように、抱えている足が痛くなるほどこぶしを強く握って。

 少しの間そうしていると、ふと部屋のドアが開く音が聞こえた。キラは億劫そうに、視線だけをドアに向けると、そこにはラクスが驚いたように立っていた。

「キラ…?」

 キラの常とは異なる状態に気付いたのか、ラクスはすぐにキラに駆け寄りキラを包み込むように抱きしめた。
キラは何も聞かないラクスの優しさに、得も知れぬ安心感を抱いた。そして腕をラクスの背にのばしてすがるように抱きつく。

 しばらくそうしていると、落ち着いたのかキラが顔を上げラクスに泣きそうに微笑みかけた。

「ゴメン。驚かせちゃったね。」
ラクスはそんなキラを悲しそうに見つめ、
「また、辛いことがありましたのね」
といった。

キラは椅子に座ったまま、立っているラクスの腰に抱きつき、頭をそっとお腹に乗せてから言葉をつむいだ。

「…僕らが休んでいた間に、プラントではいろいろな事が進んでいたよ。」

 キラはラクスにたった今知った情報を全て話した。ラクスがキラの髪を優しくなでていたので、ついつい言うつもりの無い事まで言ってしまった。

「議長は何か良くない事を考えてるみたいだ。…バルトフェルトさんに協力してもらって、なんとかアスランと連絡を取りたいんだ。彼の話振りからは、議長に対する信頼が感じられた。話を聞いてその後どうするかは、アスラン次第だけど。…僕はアスランとは、戦いたくないよ…」

「大丈夫ですわ。アスランもあなたも、すでに戦争の虚しさを知っていますから。必ず、あなた達が戦わずに済む道があるはずです。」

 ラクスの凛とした、それでいて優しさを感じる言葉をきいて、キラは本来の、穏やかな笑みをようやく浮かべることができた。


 その後ラクスとともにバルトフェルトのもとへ行き、アスランの事、ミーア・キャンベルのこと、ミネルバの事を報告した。もちろん、キラ個人のこと…ザフトレッド3名の話には触れなかったが。

 そしてバルトフェルトはキラの話をきき、しばらくあごに手をやり考え込んでいたが、ふと思いついたように顔をあげ、なんだか自然に話されていたのでさっぱり頭から除外されていた、至極もっともな疑問を口にした。

「そういえばキラ、君その情報どこから得たのだね?」
「まぁ、そういえばそうですわね。監視カメラといい、訪問者のリストといい、私の偽者といい…。公開されていい情報ではないはずなのでは?」

その二人の視線にさられ、キラは気まずそうに目線を明後日の方にむけると、ポツリとつぶやいた。

「プラントのマザーをちょっと…」

その言葉に二人の体が固まってしまったのは言うまでもなかろう。



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